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NRF APACで浮き彫りになった日本のリテール市場の状況/進化の鍵は「リアルのパーソナライズ化」か


 2024年6月に、世界最大規模のリテールカンファレンス「Retail’s Big Show」が初めてアジア圏で開催された。毎年NYで開催される「Retail’s Big Show」だが、今回は日本からの行きやすさもあり、日本人も400名強参加したようだ。本稿では、「NRF 2024: Retail’s Big Show Asia Pacific」に赴いた、日本オムニチャネル協会 理事の逸見光次郎氏と、一般社団法人リテールAI研究会 理事の林拓人氏を取材。カンファレンスで見えた、日本のリテール市場の現状とこれからについて話を聞いた。

NRFの「Retail’s Big Show」、アジア初開催の背景

――今年6月、「NRF 2024: Retail’s Big Show Asia Pacific(以下、NRF APAC)」がシンガポールで開催されました。世界最大規模のリテールカンファレンスであるNRFのRetail’s Big Showがアジア圏で開催されたのは、これが初めてですよね。

逸見:はい。まず、NRFとは全米小売業界(National Retail Federation)」の略称です。NRFにはアメリカの小売業、EC事業者、支援業者の多くが加盟しており、世界最大の小売業界団体と言われています。

 このNRFが主催するカンファレンスが「Retail’s Big Show」で、これまで毎年1月にニューヨークで開催されてきました。Retail’s Big Showでは、小売大手の経営陣による講演や、最新のテクノロジーが紹介される大規模な展示会などが行われます。そのRetail’s Big Showを初めてAPACで開催したのが、今回の「NRF APAC」です。

――今年、Retail’s Big ShowがAPACに持ち込まれた背景をどのように捉えていますか?

逸見:人口増加による市場拡大がやはり大きいと思います。高齢化を主な要因とし、先進国各国の実質成長率が下がる中、フィリピン、インドネシア、ベトナム、カンボジアなどでは人口が増加中です。これらの国は生産/消費人口の平均年齢が先進諸国に比べて若く、いわゆる“人口ボーナス”がまだまだある市場なんですね。今後、アジア圏の小売市場はどんどん成長・拡大していくでしょうし、世界を見てもこれだけの成長が見込まれるのは、アフリカかアジアくらいです。

NY開催との違いは? 市場ニーズの違いが明らかに

――NRF APACの内容や展示企業はどうでしたか? ニューヨーク開催のRetail’s Big Show(以下、NRF NY)とは、また違った雰囲気だったのでしょうか。

林:そうですね。世界中の、特にアメリカのリテール領域の最先端を走っている企業が講演をするのがNRF NY。一方、NRF APACはアジア勢の登壇企業が多く、必ずしも“最先端”ということに重きを置いているわけではないように見えました。

 また、NRF APACのコンテンツは、明らかにEC領域が中心でしたね。たとえば、今回、スマートカートに関するソリューションの展示は1社だけでした。“リアル店舗のデジタル化”もホットなNRF NYだと、スマートカート関連の展示がかなりの数あります。対して、NRF APACは1社のみ。この違いは顕著で興味深かったです。EC市場では、スマートカートのニーズがありませんからね。

逸見:それくらい、APAC、特に東南アジアのEC化率が顕著ということですよね。TikTokやInstagramなどSNSで消費行動をするような世代が消費人口のメインであり、またビジネスを作っている世代でもあります。

 私は、今回のNRF APACを振り返ると、全体的に“地に足の着いた”話が多かったなと思います。NRF NYでは最近あまり語られない在庫管理やストアオペレーションの改善の話、現場でのデータ活用の話などが多く、逆に生成AIに関する話はそこまで多くなかった印象でした。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/09/24 10:22 https://markezine.jp/article/detail/46197

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