CSからコンテンツ設計まで 愛されるアプリを作るために
高橋(Adjust):続いては「アプリの愛され方」というテーマです。皆さんのアプリは高評価であることが特徴的だと思いますが、その要因はどこにあると考えますか。
澤村(emole):「BUMP」の場合は、純粋にアプリが良いと思っていただいているのだと思いますが、あえて特定の一つを挙げるとするならば、最初の数話を視聴していただいた方にレビューのレコメンドを表示するようにしているという点になります。
澤村(emole):「BUMP」で最も離脱が発生しやすいのは第1話です。視聴者は最初の1分半から3分の間に、そのコンテンツが自分にとっておもしろいかどうかを潜在的に判断し、おもしろくないと感じた場合、すぐに離脱してしまう傾向があります。そのため、この初期段階をいかに乗り越えるかという視点で設計を行っています。最初の数分間で視聴者の興味を引き付け、継続視聴につなげられるようにしています。
逆に言えば、最初の数話を視聴してくれているユーザーはコンテンツやアプリに対して好感を持ってくださっている場合が多いので、高評価をつけてくれやすいです。
伊藤(STRACT):異なる視点でお話すると、私たちはCSを重視しています。お問い合わせは基本的に不満があってするものだと思うのですが、それに対して丁寧な言葉遣いを意識するだけ、定型の謝罪をするだけではダメだと思うんです。
伊藤(STRACT):当社の場合、時には距離感を近づけるように、明るくポジティブな印象でスタッフが対応してくれています。担当者自身のキャラクターが活きているという点もありますが、そのおかげで当社のまっすぐな気持ちがユーザーの心に伝わるのではないかと。これによって良い評価が生まれやすく、あるいは悪い評価が生まれにくくなっているのだと考えています。
高橋(Adjust):確かに丁寧な対応と心地良い対応が同じとは限らないですね。興味深い視点だと思います。
「バズって終わり」とならないための戦略
高橋(Adjust):現在どの分野に最も多くの資金を投入しているか、スタートアップ企業の経営者としての観点からお聞かせください。
岩永(SAMANSA):やはりおもしろいコンテンツを提供することが最も重要だと考えています。タイパやショートコンテンツという概念以前に、まずユーザーに「おもしろかった」と感じてもらうことが大切でしょう。
岩永(SAMANSA):広告でいうと、TikTokやYouTubeショートを活用して集客を行う場合、どうしても20代を中心とした特定の属性に偏りが生じる傾向があります。そのため、広告を活用して多様な顧客層に向けてコンテンツを届けるテストを実施しています。
また、チームは、マーケティングに精通している人というより、TikTokなどを日常的に使っている若い世代で作ることを意識しています。
高橋(Adjust):タイパ重視の傾向が強まると、すぐに飽きられてしまうのではないかという懸念が出てくるのではないでしょうか。どうすればユーザーが継続的に利用し、着実に積み上がっていくのかという点について伺いたいと思います。
岩永(SAMANSA):「SAMANSA」の場合、予告を見て「これを見たい」と思って入会し、満足して継続する方もいますが、その作品だけを見て退会する方も一定数はいます。大きくバズるとより多くのユーザーが入ってきますが、その作品のバズに起因するからこそ一時的な入会もその分多くなる。これはバズることの弊害にも見えるかもしれません。しかしこの状況では、新たなコンテンツの予告でもバズを狙うことが重要だと考えています。もちろんアプリ内で次の作品を見ていただく仕組みも整えていますが、何度もバズらせることで「おもしろいコンテンツがまた出てきた」「他にもおもしろいコンテンツがある」という認識を広げることが重要だからです。
モバイルアプリトレンド2024:日本版
AdjustとSensor Towerが共同調査した本レポートでは、日本市場でのアプリパフォーマンスに関する戦略的なインサイトをお届けします。ゲーム、ファイナンス、Eコマース、コネクテッドTV、PC、コンソールなどのチャネルのデータ分析から、アプリの成長機会を探ります。