「見るからにゲーム」が不正解なことも?ゲーム要素を活用するポイント
MZ:ゲーム要素を非ゲーム領域に取り入れる上で、注意すべきポイントを教えてください。
後藤:よくある勘違いとして、「売りたいものやプロモーションの内容に、とにかくゲーム要素をつければいい」があります。どんなにゲームが好きなユーザーでも、「今ゲームをやりたいわけではない」と感じるシーンも、当然存在します。
ゲームは万能薬ではなく、使いどころを考えないといけません。ゲームではないほうがいい場合や、一見ゲームとは離れているけれどゲーム要素が入っている形のほうが、効果的なケースもあります。
そのため、訴求したいターゲット層の性質やニーズを基に、ゲーム要素のボリュームや入れ方を検討することが大切です。大々的にゲームとしてパッケージングするより、「隠し味」としてゲーム要素を取り入れるほうが、効果的な場合も少なくありません。
第2回クイズの答え:ゲームフル
MZ:ユーザー目線では、「見るからにゲーム」の設計が正解にならないこともあるのですね。
伊藤:このような企業目線とユーザー目線の乖離では、つい「ユーザーは合理的に動く」と考えがちな点も注意すべきです。企業活動には当然ながら合理性が求められますが、基本的に生活者は不合理です。双方の目線がくい違うと、企業が「便利な機能だから皆が使う」と想定してリリースしても、ユーザーに「面倒だ」「よくわからない」と見なされてしまいます。
だからこそ、私は人間理解が重要だと考えています。そして、第1回でもお話しした通り、「本質的・感覚的な人間の欲求」がゲーミフィケーションの基礎です。企業の適切な顧客理解と、人間の欲求を言語化することが不可欠だと考えています。
後藤:一人ひとりのユーザーを観察することも有効ですよね。ゲーム作りでは、実際にユーザーがプレーする様子を見て、どこでつまずいたり飽きたりするかをつかみます。仮説に反した動きや遊ばれ方をするケース、想定外の人が興味を持つケースなども多々あります。
伊藤:ユーザーの気持ちや欲求に向き合い、企業側が徐々にアジャストしていく形が正しいと考えています。加えて、なぜユーザーがつまずいたのかを理解し、施策全体に適用する視点が重要です。
技術とともに、人間理解も進む
MZ:ゲーミフィケーションのビジネス活用は、世界的に見てもこれから広がる段階にあるのでしょうか。
伊藤:おっしゃる通り、まだまだブルーオーシャンです。私たちのようなゲーミフィケーションの専門企業が台頭するのか、あるいは各業界や企業に考え方として浸透するのか。いずれにせよ、近い未来には拡大すると見ています。現在もその方向に技術は進化していますし、感情や欲求といった人間理解も進んでいくでしょう。
後藤:世の中が徐々に変化しているとはいえ、特に日本は教育領域を筆頭に、ゲームに対する拒絶反応が根強く残っている傾向があります。しかし学びとゲームは非常に相性がいいため、その壁が解消されれば、さらなる発展につながると考えます。
伊藤:今は、私たちで先行事例を作っていく段階ですね。ぜひマーケティングでも、ゲーミフィケーションに注目いただければと思います。
MZ:ありがとうございました。次回は、いくつかお題を出しながらゲーミフィケーションで実現できることや可能性について、お二人にアイデアやポイントを伺っていきます。
【連載特別クイズ:第2回~回答編~】
回答:「ゲームフル」
理由:文章中に違和感のある行間はありませんでしたか。
3ページ目「MZ:ユーザー目線では、~」の文章の上部を白黒反転(カーソルで選択)してみると……?