博報堂DYホールディングス、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズの共同研究プロジェクト「コンテンツビジネスラボ」は「コンテンツファン消費行動調査2024」を実施した。そのデータをもとに、アニメや音楽など全11カテゴリ・計1,300以上のコンテンツに関する、「リーチ力・支出喚起力ランキング」を算出し、発表した。
リーチ力・支出喚起力とは、企業のコンテンツ活用を促進するために、コンテンツビジネスラボが開発した独自指標のこと。
リーチ力は、そのコンテンツが1年間に到達できる人数を表す指標。この指標が高いと、キャラクタータイアップ・CM への起用・PR などの活用に向いている。
一方、支出喚起力はコアファンによる年間の関連市場規模の指標。自社の商品やサービスそのものにコンテンツを組み込んだオリジナルの企画を開発し、コンテンツファンの実際の購買を目的とする場合、どのくらいの売り上げ規模が見込めるかを推計できる。
10年間でコンテンツ支出金額が最も高い結果に
1年間のコンテンツへの平均支出金額は7万9,103円(前年比+1万576円)と、2011年の調査開始以来2番目に高い水準で、直近10年の調査結果では最も高い結果となった。
デジタルで育んだコンテンツの楽しさがリアルの世界へ
市場カテゴリごとに見ると、リアルイベント市場の伸びが著しく、推定市場規模は1兆288億円(前年比+14%)、関連グッズ市場も大きく伸び7,245億円(前年比+36%)となった。
また、デジタル配信での動画や音楽への支出が含まれるスマホ・タブレット市場が前年比で24%増(+917億円)と大幅に伸びた。
コロナ禍の間、デジタルを中心にコンテンツと出会い、デジタルに支出することに慣れた生活者が、リアルでの体験にも積極的に支出するようになり、コンテンツホルダーにとってチャンスが広がったとコンテンツビジネスラボは分析している。
リアルイベント市場の内訳をコンテンツジャンルごとに見ると、「ライブ・コンサート」や「音楽フェスティバル」など音楽ジャンルの市場規模が大きく伸び、2,648億円(前年比+32%)となった。
いわゆる「聖地巡礼」と呼ばれるロケ地訪問などの支出がけん引した「バラエティ・ドラマ」や「アニメ・特撮」といったジャンルでも伸びが目立った。また関連グッズ市場も幅広いコンテンツジャンルで伸びた。
リーチ力1位は『鬼滅の刃』、2位は『SPY✕FAMILY』
どれだけ多くの生活者に接触できるかを示す「リーチ力」ランキングでは、『鬼滅の刃』と『SPY✕FAMILY』が前年調査に続き1位と2位になった。
2024年は、「リーチ力」TOP20のうち13個をアニメが占めた。直近5年間の「アニメ・特撮」と「音楽」ジャンルのランクイン数を比較すると、アニメの伸びが目立つ結果となった。
支出の鍵は、推し活のツボを押さえた体験設計
「支出喚起力」ランキングでは『SEVENTEEN』が1位、『Stray Kids』が3位とK-POPアーティストが躍進した。K-POPが1位になったのは調査開始以降初めてで、ランクインしている他のアーティストに比べて、ファンの平均支出金額が高かったことがランキングを押し上げた。
K-POPでは、多様化した「推し活」のツボを押さえた体験がいち早く設計されていることが、支出喚起力での上位ランクインに寄与したと同ラボは考察している。
K-POPファンに向けた体験設計としては、CD、ライブ、グッズだけでなく、投票イベントのためのオンライン課金、オンラインミーティング、誕生日の応援広告出稿、ファン主催のイベント参加など、リアルとデジタルをまたいだコンテンツが挙げられる。
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査地区/対象者:全国15~69歳の男女 (全国7エリアを性年代別人口構成比で割り付け)
有効回収サンプル数:1万サンプル
調査時期:2024年2月27日(火)~3月8日(金)
調査機関:QO株式会社
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