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花王廣澤氏が若手視点で聞く、これまでとこれからのマーケティング

「未来のレモンサワー」開発担当の西村さんに聞く、本当に欲しい商品のアイデアの見つけ方

「未来のレモンサワー」のようなイノベーションが生まれた理由

廣澤:西村さんは未来のレモンサワーの開発担当部署に所属しているとのことですが、どのような発想から開発に至ったのでしょうか。

花王株式会社 デジタル戦略部門 デジタル戦略企画センター 戦略企画部 廣澤	 祐氏
花王株式会社 デジタル戦略部門 デジタル戦略企画センター 戦略企画部 廣澤 祐氏

西村:最初の着眼点は「アサヒスーパードライの生ジョッキ缶を活かして、新しい商品が作れないか」でした。そこから、レモンの入ったレモンサワーで、中に入ったレモンが浮き上がってくるところまで試行錯誤を経てたどり着きました。

廣澤:その試行錯誤は、R&Dの部門と連携しているのでしょうか。

西村:2022年頃から研究所にいたメンバーが一部マーケティング部門に異動してきたこともあり、人材の交流が進むようになりました。そのような組織体制の変化もあり、渾然一体となって商品開発を進められる環境が整っています。

廣澤:R&Dの部門との連携が組織改革によって進み、以前と商品開発の進め方やスピード感が変わったことで、未来のレモンサワーの発想が生まれたのですね。

 缶の中にレモンが入っていることが大きな特徴だと思いますが、開発の中で苦労した点はどこでしょうか。

西村:私たちは缶の中に食べ物を入れたことがなかったので、その実現がとにかく大変でした。「品質保証はどの程度できるのか」「種を飲み込んでしまったらどうするのか」など、これまでの商品にはなかった課題が数多くありましたし、品質保証に関する部門も最初は不安視していたと思います。

 それでも、社長の松山やマーケティング本部長の梶浦など、トップがチャレンジするんだという気持ちが伝わり、全社一丸となって商品を開発することができました。

廣澤:社内でも「これは売れそう」というワクワク感があったのでしょうか。

西村:そうですね。いいアイデアは商品になる前から共感が集まりますし、ヒットするかどうかの基準の一つでもあると思います。「これが売れるの?」より「これなら売れそう」と思ってもらえたほうが、当然社内のモチベーションも高まりますよね。

タレントパワーなしで伝わる魅力があるか

廣澤:部下の方から「アイデアはおもしろいはずなのに、商品化までに至らない」といった相談を受けることもあると思います。その場合西村さんはどういったアドバイスをしますか。

西村:新しいブランドを作るとき「タレントを使わず、30秒CMで訴求できる要素があるか」を聞くようにしていますね。それがないアイデアの多くは同質改善の域を出ていません。

廣澤:未来のレモンサワーのCMは、まさにタレントの力を使わず30秒で魅力が伝えられていますよね。

西村:ここまで商品だけで広告しているCMはアサヒビールの中でも珍しいです。それでも、本当に価値のあるものをまっすぐ伝えると商品が売れることがわかりました。これまではコミュニケーションの力に頼りすぎていた部分もあるので、新たな気づきでしたね。

廣澤:レモンが浮き上がる、数ヵ月置くと味に変化が生まれるなど、様々な特長がある未来のレモンサワーですが、発売後の反響はどうですか。

西村:レモンが浮き上がってくる点は多くの方から良い反響がありましたね。味に変化が生まれるのはまだそこまで気づかれていないので、味の変化を訴求するコミュニケーションにもチャレンジしたいです。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46691

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