LINE広告「友だち追加」とは? 特徴や他メニューとの違い
MarkeZine:はじめに、ベルーナがどのような目的でLINEの広告サービスを活用・運用しているのか、またこれまでにどのような施策を展開してきたかなどの大枠をお聞かせください。
奈良原:ベルーナではECの売上拡大・効率化を目的とし、LINE公式アカウントおよびLINE広告を活用してきました。LINE上での施策は、メルマガなどの他チャネルと比較すると即時性のある情報を届けられるほか、ユーザーに瞬発力のあるリアクションを促せることがメリットだと考えています。
これまでは「LINEプロモーションスタンプ」や「LINEで応募」など、インセンティブのある形でキャンペーンを実施しながら、ECサイトへのユーザー数増加や売上拡大といった成果を上げてきました。
MarkeZine:従来の施策で十分に成果を上げられていたにも関わらず、ベルーナはLINE広告「友だち追加」の活用にもトライされたと聞いています。このLINE広告「友だち追加」とは、どのような広告商品なのでしょうか?
北村:LINE広告「友だち追加」とは、LINEアプリ内でLINE公式アカウントの友だち追加を促すことができる広告メニューです。トークリストをはじめ、LINE NEWSやLINE VOOMなどの面に配信できます。
LINE内で友だち追加を促すには、先ほど奈良原さんがおっしゃったように他にも複数のアプローチがありますが、LINE広告「友だち追加」にはオーディエンスデータを活用した精度の高いターゲティングが可能という特長があります。そのため、自社の商品・サービスに関心が高い友だちを効率的に増やしたい場合に最適です。
友だち追加施策は、フェーズによる使い分けが肝要
MarkeZine:ベルーナが、LINE広告「友だち追加」の活用を決められた理由は何だったのでしょうか?
奈良原:従来の施策により、ベルーナのLINE公式アカウントでは、既に1,000万人以上の友だちと接点を持つことができています(2024年10月時点)。非常に強力な販促チャネルとして運用できている一方、LINE公式アカウントはメッセージ配信が従量課金のため、次第にコストが大きくなっていくという課題がありました。
そこで、売上貢献への効率化を図るため、今後は「BELLUNA」というサービスに興味がある方に絞った施策にも力を入れていきたいと考えていたのです。その点、インセンティブの付与なしに友だち追加を促すことができるLINE広告「友だち追加」は、現在の我々の課題感や目的に合うのではないかと考えました。
望月:友だち数の増加を狙う施策は、「LINEプロモーションスタンプ」や「LINEで応募」など複数あり、アカウントの運用フェーズによって使い分けることをおすすめしています。「LINEプロモーションスタンプ」や「LINEで応募」は、インセンティブの付与があるので、友だちの数を増やしたい時に活用すると高い成果が見込めます。
一方LINE広告「友だち追加」は、セグメントやオーディエンスを細かく設定し、関心度の高いユーザーに絞って配信することで、インセンティブを提供せずとも友だち追加を促すことができます。ベルーナの場合は、既存顧客の特徴を参考にサービスに関心の高いユーザー条件を抽出し、配信設定を行いました。
具体的には、ベルーナのLINE公式アカウントの友だちに配信したメッセージをクリックしたことがあるユーザーなどでオーディエンスを作成し、そのオーディエンスに似ているユーザーにターゲティングする「類似配信」機能を活用しました。
ROAS約5倍!LINE広告「友だち追加」による成果
MarkeZine:ベルーナは、LINE広告「友だち追加」を活用して、どのような成果が得られましたか?
望月:LINE広告「友だち追加」と「LINEで応募」の施策を同じ期間で実施したところ、LINE広告「友だち追加」のほうがROASが高いことがわかりました。LINE広告「友だち追加」は精度の高いターゲティングで「BELLUNA」に興味のあるユーザーにアプローチしているため、友だち追加後のクリックや購買といった反応率が高い傾向にあります。
たとえば、1ヵ月後のROASを見ると「LINEで応募」と比較して約5倍という数値が出ています。1ヵ月後以降もフォローし続けていただける点を考慮すると、LTVを踏まえた効率性はより高くなっていくと思われます。
一方、友だち追加1人あたりの単価は、関心度に関係なく広範囲にリーチできる「LINEで応募」のほうが安価でした。このことからも、まず友だちの総数を増やすフェーズでは「LINEで応募」、そこからターゲットに絞った施策を実施するフェーズではLINE広告「友だち追加」といった目的別の使い分けが重要なことがわかります。
難しかった「LINE活用による売上貢献」を可視化
MarkeZine:今回、ROASの比較ができたのは、オプト社の分析ツール「TSUNAGARU for L-Analytics(以下、L-Analytics)」を使用して、友だち追加による売上貢献を可視化したからと聞いています。「L-Analytics」とは、どのようなツールなのでしょうか?
望月:LINE公式アカウントから得られる情報は、基本的にLINE内での行動に限定されています。そのため、従来はサイトに遷移した後のページ閲覧や購買行動などは可視化することができませんでした。そこでオプトが開発したのが「L-Analytics」です。こちらは、当社提供のAPIツール「TSUNAGARU」のオプション機能となっています。
「L-Analytics」では、LINE公式アカウントのユーザーIDにLINEやWebサイトの行動データを統合することで、友だち追加やクリックなどのLINE内の行動だけでなく、ページ閲覧や購買といったサイト内の行動も、1つのデータベース上で管理することが可能です。言うならば、LINE専用のCDPを構築するようなイメージですね。
「L-Analytics」の活用によって、「友だち追加から〇日後時点での売上貢献」といった具合に中長期で効果を分析することができるようになります。どんなユーザーがどのような商品を好んで閲覧するか、といった示唆を得ることも可能です。
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効果検証が可能になると、意思決定がスムーズになる
MarkeZine:ベルーナでは、「L-Analytics」を活用してどのような気づきが得られましたか?
望月:たとえば、LINE公式アカウントのメッセージ配信でよくクリックしているユーザーをランク分けした結果、上位1〜2割のユーザーが全体の8~9割の売上を生み出しているという「28の法則」と同様の傾向が見えてきました。
また、LINE内の行動データでは見えなかったユーザーの実際の購買行動も明らかになりました。たとえば、男性向けの商品をクリックしたユーザーが、日頃購入・閲覧している商品が女性向けだった場合、ただの押し間違い、もしくは妻が家族のためにバナーをクリックした状況が推測されるでしょう。
奈良原:キャンペーンクリエイティブに関しても、赤など目立つ色を使うほうが反応率が高いことがわかるなど、興味深い示唆が得られています。
また、LINE公式アカウントの友だちが増加するのに比例して、EC売上も増加している感覚は以前から漠然とありましたが、明確に可視化できていなかったため、施策への投資に躊躇することもありました。その点、「L-Analytics」の活用により意思決定がしやすくなったと感じています。
望月:奈良原様が話されたように、ECサイトでLINE公式アカウントの友だち追加に広告費を投じる施策は、これまで優先順位が低く見られがちでした。友だち登録後のユーザー購買行動の可視化が困難で、ROASの算出が難しかったためです。
「L-Analytics」によってユーザー行動や効果が可視化されてくると、今後は「CPAを抑えるため、LPの代わりにLINEに誘導する」といった選択肢も出てくるでしょう。こうした新たな選択肢は、ユーザーが何度も購買する商材のEC企業はもちろん、人材系や脱毛サロンなど、1回の応募や契約で完結するような商材でも有用だと考えています。
オンオフ問わず、広がるLINE活用の可能性
MarkeZine:ベルーナの今回の事例について、LINEヤフー社としてはどのような点が優れていたと思われますか?
北村:フェーズによってLINEの機能を使い分けている点、ROASもしっかり意識している点が素晴らしいと思います。オプト様とベルーナ様の連携があってこそ実現できていることでしょう。
望月:大切なのは、アカウントの運用方針を決定することです。「とにかくまずは友だちの総数を増やすこと」を目標とするフェーズもありますが、方針を決めずに進めることはおすすめしません。どの規模で運用していきたいかを慎重に検討しながら進めていくことがポイントになってくると思います。
MarkeZine:最後に今後の展望をお聞かせください。LINEを活用し、新たにチャレンジしてみたい施策などはありますか?
奈良原:オプト様の「L-Analytics」を使って様々な顧客分析ができるようになりましたが、LINEにおける詳細なセグメント分けはまだ十分に実施できていないと感じています。どの年齢層にはどのようなコンテンツが効果的かを分析することで、お客様のニーズに合ったコンテンツを配信できるようにしていきたいです。
今後もLINE経由の売上を注視しつつ、最適化が必要な領域や不足している部分を見極めた上で、「LINEプロモーションスタンプ」「LINEで応募」、LINE広告「友だち追加」と、その時々に最適な施策を実施していきたいと考えています。
また、ベルーナは実店舗も展開しており、ゆくゆくは店舗とECサイト、LINEの施策を連携させる取り組みも考えています。たとえば、店舗で友だち追加をしていただいたお客様に新商品やキャンペーンの案内、近隣に新しくオープンする店舗の情報などを届けるなどの施策が考えられるでしょう。
望月:店舗との連携については、まだ発展の余地があると認識しています。たとえば、LINEミニアプリを使って店舗の会員証を発行し、LINE公式アカウントと連携させるといった取り組みから始めるといった手法もあります。ほかにも、店舗に来店していただいた方にポイントをプレゼントするなど、オンオフを横断した施策の実施も支援していきたいです。
※本記事で紹介している実績はすべてオプト社の調べによるものです
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