「集客エンジン」と「集金エンジン」
まず、2003~2004年にPCの広告市場が拡大した背景に、ADSLの普及による「つなぎ放題」「定額」「表示の速さ」があったが、同氏は「現在の携帯を取り巻く環境もそれに類似している」と指摘。続いて「来年、再来年にはモバイルの広告市場は急激に伸びるだろう」と語り、市場性の高さを強調した。
次に今後モバイルビジネスを行う上で成功するモデルの前提として「『集客エンジン』と『集金エンジン』を持つこと」が必要とし、その例として挙げたのがPC市場で成功しているmixi。「『mixi』の場合は『mixi』という媒体で人を集客し、『findjob!』でお金に変えるモデルで成功している。同様にモバイルビジネスを行う上でもCGMを活用し、人を集めてから、その人たちがお金を使うコマースなどの『集金エンジン』を用意することが重要」と述べた。
ケータイ版 YouTube的 SNSとは?
セッションの後半にはいるとKLabの各サービスの紹介が行われた。注目のサービスと紹介されたのは、ケータイ版 YouTube的 SNSを謳う「ケースペ」である。「ケースペ」はユーザー間で動画、音声、画像、着信メロディ、デコメール等のコンテンツファイルを共有することができる。
同氏は「ケースペは対面の人間関係を補完する従来のSNSとは違い、趣味や関心事を通じて新たな交遊関係を作ることができるサービス。わかりやすく言い換えると、大学生がテニスサークルに入った目的はテニスをしたいのではなく、合コンをしたいという目的だったりする人もいる。本当の目的を主体として、人と人とが繋がれるサービスを目指す」と述べ、潜在ユーザーにアピールしていく方針を示した。
また、「ケースペ」をOEMとして提供することも明らかにし、顧客満足度を高めるために各企業がはじめたポイントカードのサービスだが、各社が同じようなサービスをすることにより、逆に満足度が下げる場合もある。その新たな施策としてSNSをやりたい」など、企業の新たなマーケティング手法として「ケースペ」が定着していく可能性があると語った。
テレビ通販の機会損失を解消
その他のサービスとしては、TV通販番組が集まったケータイ・モール「ポケ通」が興味深い。真田氏によると「テレビ通販のコンバージョン率はEコマースの1/10以下であり、機会損失が激しい」という。そこで「ポケ通」ではテレビで「認知」をしてケータイで「購入」する流れを作り、双方のメリットを生かすしくみを実現している。「ポケ通」の平均購入単価は27,000円と高単価で、「携帯でモノを購入する」というユーザー層が確実に育ってきているという印象を受けた。PC上でのWeb2.0的サービスは出尽くした感があるが、ケータイ上でのWeb2.0的サービスはこれから本格化していくのか? 今後も注目していきたい。