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MarkeZine Day 2024 Autumn

お菓子を通じて価値を力強くつなぎ合わせ新しい成果(製菓)を生み出す、春日井製菓の「おかしなコラボ」

社内外に仲間を増やすための専門部署「おかしな実験室」を設立した春日井製菓。同社はその取り組みを自社だけで行わずに、異業種の企業を巻き込みながら行っている。なぜ、春日井製菓は異業種コラボをし続けるのか?MarkeZine Day 2024 Autumnでは、おかしな実験室 室長の原 智彦氏に公開取材が行われた。

「お客様」とは誰のこと?

 ──まずは、春日井製菓における原さんのミッションと、「おかしな実験室」を立ち上げた経緯について教えてください。

 私は広告代理店や飲食業界を経て、2018年に春日井製菓へ入社しました。春日井製菓は「おいしくて、安心して多くの人々に愛され続けるお菓子作り」という経営理念を掲げています。社員一人ひとりが経営理念を体現すれば業績が伸び続けるはずですが、入社当時は業績が伸び悩んでいました。

春日井製菓販売株式会社 おかしな実験室 室長 原 智彦氏
春日井製菓販売株式会社 おかしな実験室 室長 原 智彦氏

 おいしくて安心安全なお菓子を作っているのに業績が伸びていないということは、「愛される」が達成できていないのかな、と考えました。そこで、愛してほしいお客様って誰だっけ? と改めて考えた時、私のキャリアの中で春日井製菓が初めてのメーカーだったこともあり、最初は営業担当とお客様の定義が噛み合わなかったんです。営業は問屋さんや小売店さんを、私はエンドユーザーをお客様と捉えていたからでした。

 どちらが良い悪いという話ではなく、もちろん両方大切。

 BtoBの商流では、問屋さんと小売店さんに選ばれないと商品が陳列されません。しかし両者からすると星の数ほどメーカーはありますし、さらに小売業は利益率が高いプライベートブランドを選択しがちです。でも、エンドユーザー側から「春日井製菓の商品を置いてほしい」という声があれば、小売店さんは喜んで陳列し続けてくださる。

 なので私は入社以来ずっとエンドユーザーに愛されることをミッションと捉え、それまでなかった取り組みをたくさん行い、2022年5月に、その流れを加速すべく「おかしな実験室」という部署を社内からメンバーを公募して立ち上げました。

お菓子を通じて異なる価値を力強くつなぐ

 ──おかしな実験室では異業種とのコラボを積極的に行っています。これにはどのような狙いがあるのでしょうか?

 おかしな実験室の活動の根底にある思想は、「子は鎹(かすがい)」ということわざでも使われている「鎹」が起点になっています。先述した経営理念を体現すべく、「愛されるためにはどうすべきか」を自分の中で考えた時、春日井と同じ読みを持つ、縦横の柱をつなぐ釘の役割を果たす「鎹」から着想を得て、春日井製菓を「お菓子を通じて異なる価値を力強くつなぎ合わせ、新しい成果(製菓)を出し続ける会社」と定義したんです。

 おかしな実験室では、「面白くてワクワクする実験的な試みで、人と商品を人気者にしながら、社会と会社を明るくする。」をミッションに、①ネタづくり、②仲間づくり、③キッカケづくりの3つを軸にした業務を行っています。

 異業種コラボを行う背景には、入社当時の「会社名が検索されていない」という状況を問題と捉えたことがあります。春日井製菓は本社がある愛知県では知名度が高いのですが、Googleトレンドで同業他社と比較した際に、会社名も商品名も検索数が圧倒的に少なかった。この結果は、エンドユーザーから関心を持たれていないからだな、と解釈しました。

 本来お菓子は老若男女問わずに歓迎されるものなので、全然交わるはずもなかった人たちと、お菓子やおかしなことを通じて関わり合いを作れば、「愛着(エンゲージメント)」を高められると考えました。

 そこで、春日井製菓への関心を高め、関係人口創出を増やすことを目的に、意外性のあるゲストを組み合わせた、予定“不”調和のトークイベント「スナックかすがい」を企画したのです。

 第1回目は2018年11月にWeWork 新橋(現在は閉業)のイベントスペースで実施しました。参加費1,000円でうちのグリーン豆が食べ放題で、WeWorkさんのビールが飲み放題というお得さもあり、想像以上に好評をいただきました。バラエティに富んだゲストとテーマで回を重ね、現在まで累計32回の「スナックかすがい」を開催しています。

 ここから多種多様なご縁が発展して、愛知県春日井市でえんどう豆を育てたり、お菓子を使ったアイデア料理のコンテストを福岡と名古屋で開催したりしています。

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この記事の著者

古田島 大介(コタジマ ダイスケ)

 1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、エンタメ、カルチャー、web3、NFTなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/15 08:30 https://markezine.jp/article/detail/47005

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