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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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MarkeZine Day 2024 Autumn

お菓子を通じて価値を力強くつなぎ合わせ新しい成果(製菓)を生み出す、春日井製菓の「おかしなコラボ」

おかしなサマースクールの費用対効果とは?

 ──いろいろとコラボのメリットがあることはわかるのですが、どうしても上層部からは「何のためにやるのか」「どこで収益を得るのか」というように、収支や費用対効果を求められると思います。この辺りはどのような折衝を行っていますか?

 まずは弊社が負担した費用のことからお話すると、初年度掛かった約300万円のコストが、今年は70万円に減りました。それは、コラボ参画費として各企業から5万円をいただいたからです。去年は初めての実験でしたので、場所代も飲食代も記録用の写真や動画撮影などもすべて弊社が持ちましたが、2回目の今年は5万円を負担してほしいと伝えたところ、各社すんなり了承してくれました。

 去年ご一緒した企業は、その効果を実感してくれたからだと思います。初参画の企業には、このイベントが、人材育成にも、企業認知度アップにも、購買意欲の喚起にもつながっていることを、実例を交えて説明しました。日本の中小企業が社員一人当たりに掛ける年間の教育費が約3.1万円であることを引き合いに出すと、むしろ安いと言われます。

 来年は懇親会3回分の費用や、新たなITツールの導入もするので、10万円に増額しますが、今年の効果を実感している企業は、とても安いと言ってくれます。他にこうした取り組みはないですから。

 ちなみに、新しく人材を採用する際に人材紹介会社に支払う手数料の相場は、今や平均35%。年収500万円の人材を採用したら175万円の手数料がかかるわけです。おかしなサマースクールが優秀な人材の流出を食い止めたら、それはもう、すごい費用対効果ですよね。

 企業はもともと、社員が生き生きと働けるように願って様々な工夫をしていますし、結構なお金も使っています。けれど、いろんな問題を抱えている。

 おかしなサマースクールで他社とコラボすることは、仕事に対する喜びや情熱を大きくし、費用の負担は小さくできる。だからこそ、多くの企業に賛同いただくことができたと考えています。

 また、“予期せぬ広がり”が期待できるのも、おかしなサマースクールの特徴のひとつになっています。告知策の一つとして、愛知・三重・岐阜のクリスピー・クリーム・ドーナツ8店舗で、7月から8月末までのイベント期間中に6個以上のドーナツを購入したお客様が持ち帰る箱に、コラボ企業29社のロゴ入りのスリーブを付けたのですが、BtoBの会社にとても喜ばれました。クリスピー・クリーム・ドーナツとの接点はまずないので、社内でも家庭でも話題になったそうです。

 これまでなかった切り口で、新たな顧客に自社のことを知ってもらうきっかけが創出できた事例と言えると思います。

大事な成果は「仕事は面白くできる」と思えること

 ──イベント実施において、何を成果と捉えていますか?

 業界も職種も異なる初対面者同士の人たちが、イベントの企画から運営まで協働することによって、仲間が増える楽しさや仕事に対する意欲の向上、愛社精神の高まりなど、様々なプラスの成果を得られました。

 中でも、私は「仕事は面白くできるんだ!」と自分で気づくことこそが一番の成果になると捉えています。

 もちろん、イベントの参加者満足度は、全部計測しています。12イベントの平均は10点満点中9.1点と非常に高い評価をいただきました。

 成果を判断する各社の意思決定層に対しては、「実際にイベントへ参加して」と呼び掛けています。子供たちが笑顔で和気あいあいと楽しむ姿や、異業種の会社同士が協力してイベントを創り上げる様子を、経営幹部にも現場で感じてもらうと、「数字だけではわからない成果」を体感してもらえるので。

おかしなサマースクールで開催されたイベント(一部)
おかしなサマースクール2024で開催されたイベント

 ── 最後に、今後の展望についてお聞かせください。

 今年までは「夏だけの学びコラボイベント」でしたが、来年から「通年の学び合いコミュニティ」に進化させます。企業が抱える課題は、新規顧客の獲得や若手社員の離職防止、会社の知名度アップ、社員の挑戦意欲の向上など多岐に渡りますが、共通していたりもします。

 こうした各社 の“困りごと”に参加各社で向き合う「課外授業」を開催していきます。誰かの弱みは誰かの強み。互いに学び合い、助け合うコミュニティへと成長させていきます。

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この記事の著者

古田島 大介(コタジマ ダイスケ)

 1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、エンタメ、カルチャー、web3、NFTなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/15 08:30 https://markezine.jp/article/detail/47005

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