導入から1年半で転換期が!プロダクトアナリティクスが定着したタイミング
講演で大久保氏は、Amplitude導入によるプロダクトアナリティクスの立ち上がりから定着までのタイムラインも共有した。
まず、ツール導入から1年間は「混乱~試行錯誤期」。最適なツールの使い方がわからず、効果があまり得られなかった。
続いて、導入して1年から1年半の期間は「転換期」だ。試行錯誤期間を経て「このままだとツールへのコストが出ていくだけ」という現実問題がのしかかり、このタイミングから積極的に外部の知見を取りに行く方向にチェンジした。ポイントは「自分たちだけで考えず、外にある知見を吸収すること」を意識した点。「よくわからないまま自分たちの頭だけで考えていても状況は変わらない」と思い、外部の専門家に支援を頼むことにしたそうだ。
この知見共有活動中に、一部のチームの取り組みからわかりやすい成功事例が生まれたことが転機になった。そこから一気に「定着・発展期」に移行していく。
「プロダクトAチームとBチームは同じやり方ができるのではないか」「こういう分析はできないのか」などチーム間での繋がりが自然発生し、組織全体で学習速度が一気に上がっていった。
「大変ではありましたが、転換期の最中で1つ成功事例が生まれたことは非常に大きかったです。それによって、先ほど話に出た『従来の業務習慣の引力』を跳ね返すエビデンスができたと感じています。新しいやり方を定着させるには、成功事例をいつ作るかが大切なポイントで、そこに注力すべきだと思います」(大久保氏)
分析工数は10分の1に低下、創出CV数は10倍に!
プロダクトアナリティクスの導入後、LIFULLのプロダクト事業にどのような変化があったのだろうか。大きな成果で言うと、「分析工数を従来の10分の1まで減らすことができた」と大久保氏は話す。
その上で、より具体的にプロダクトチームの変化を見ると「施策成功率」「市場学習回数」「創出CV数」の3つの指標で大きな成果が得られたそうだ。
まず施策成功率については、定量理解が進んだことで従来の2.8倍と大きく向上。それまでは「あまり成果が出ない」という認識が広がっていたが、Amplitude導入により、他チームも含めて施策の成功率を実感できるようになった。
そして市場学習回数も、従来の1.5倍となった。市場学習とは「市場にリリースした実験の回数」のことで、目標達成のための仮説立案・検証実施を意味する。プロダクトアナリティクスで分析を繰り返すことで、仮説の立案から施策の設計、検証がスムーズになり、施策実施の回数が大きく伸びたそうだ。こうした成果を踏まえ、創出CV数も10倍と大きく向上した。
次に目指すのは「市場学習回数の最大化」
毎日1%の成長を続けていくと、1年後には35.8倍になるという「1%の法則」がある。この法則によれば、逆に毎日1%ずつ衰退していくと、1年後には0.03になってしまうそうだ。LIFULLはこの概念を突き詰め、プロダクト事業のさらなる成長を目指し市場学習回数の向上に取り組んでいくと大久保氏は話す。
この市場学習の最大化に向けて必要なのは、各チームでPDCAをしっかり回していくこと。そのためのフレームワークも組んでいるが、特に注力していくのは成功施策を組織全体に広げる「横展開」と、その成功事例のアウトカムを発信する「発信・浸透」だという。
大久保氏は「発信・浸透を重視する企業はあまり多くないと思いますが、1つのチームが得た知見を共有することはとても重要だと考えています。成功・失敗も含めて得た知見が社内で共有されなければ、組織全体で見ると機会損失や非効率を生む可能性があるからです。あえて発信というプロセスを組み込むことで、チーム全体の成長速度が上がると考えています」と説明する。
DearOneの小島氏も、「発信・浸透」はプロダクトグロースにおいて重要なポイントになると述べ、「グロースを目指すのならば、プロダクトアナリティクスの考え方と、その導入に伴うカルチャー変革の2本立てで取り組むことを考えてみてください」と話し、セッションを結んだ。
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