2.ターゲット顧客の精緻なセグメンテーション
次に、ターゲットとなる顧客を業界・企業規模・地理的条件・購買行動などの基準でセグメント化します。これにより、1)で定義づけたカテゴリーにおける関与度やニーズの深さなどを把握していくことが可能になります。
3.ターゲティングの最適化
セグメンテーションを行えたら、以下の評価に基づき、最も効率的かつ効果的にリソースを投入できるセグメントをターゲットに選定します。
・潜在顧客(企業)数:各セグメントの市場規模を測定し、潜在顧客の数を把握する。これは、リソースを投入し、契約していく企業の数により費用対効果が得られるかの判断材料となる。
・獲得難易度:各セグメントの顧客を獲得するための難易度を評価する。たとえば、既存の強い競合がいる場合や、顧客の購買プロセスが長く複雑である場合、獲得に要する時間やコストが増加する可能性があり対象セグメントとするには費用対効果が悪い場合などがある。
・LTV(顧客生涯価値): 各セグメントの顧客が企業にもたらす価値(LTV)を予測する。長期的に見て最も利益を生む可能性のあるセグメントに焦点を当てることで、戦略的な優先順位を設定する。
4.純粋想起を高める一貫性のあるブランドメッセージと継続的なコンテンツ配信
選定したターゲットセグメントに対して、一貫性のあるブランドメッセージをマーケティングチャネル全体で発信します。ウェブサイト、営業資料、SNS、プレスリリースなど、顧客が接触するすべてのポイントで統一されたメッセージを伝え、ブランドの記憶を強化します。
たとえば、BtoBの場合は、ターゲットセグメントが関心を持つ課題や業界トレンドに関連する高品質なコンテンツを継続的に提供します。ホワイトペーパー、セミナー、事例紹介など自社メディアを通じてその分野での専門性を示し、顧客のブランド想起に直接的な影響を与えます。
リード獲得や成約におけるCPAが悪いと判断をして、ホワイトペーパー施策などを止めてしまうケースがありますが、これは非常に勿体ないと感じます。これらのコンテンツ施策の本質的な目的はリード獲得ではなく、特定セグメントへ継続的に情報提供をすることにより、「業界の専門家としてのブランドイメージ」を組成することです。ここの本質を理解しているマーケティング担当者は多くないかもしれません。
5.カスタマージャーニー全体での一貫性
顧客の購買プロセス全体にわたって、一貫したブランドメッセージを提供します。認知フェーズから商談、アフターサービスに至るまで、どの段階でも顧客が期待するブランドイメージを裏切らないことが、純粋想起率を高めるための重要な要素となります。
特定の顧客に対して、初期フェーズでは包括的な課題に対する訴求を行い、クロージングフェーズではより詳細なカスタマイズされた訴求を行う必要性があるものの、プロダクトやサービス全体として、言っていることに矛盾が生まれたり、提供するソリューションがまばらになってしまったりすることは避けるべきです。短期的な契約は生まれるかもしれませんが、BtoBのブランドとしての純粋想起を高める手法としては悪手だと考えます。
カスタマージャーニー全体で一貫したメッセージを発信し、まずは特定カテゴリーのリーダーとなること。その後、カテゴリーを広げていくことを推奨します。
6.継続的なブランドモニタリングとフィードバック
施策を実施していくのと並行して、「ブランド想起」や「ブランドイメージ」を定期的にモニタリングすることももちろん重要です。顧客や市場からのフィードバックをもとに、常に戦略と戦術の改善点を把握する必要があります。
調査やアンケートを通じて、顧客がどの程度ブランドを想起しているか、またそのイメージがどのように変化しているかを把握し、適宜戦略を修正しながら、マーケティング施策を継続的に行っていくことにより、BtoB企業としてのブランドが形成されていきます。
ブランディングをスタートするのに「タイミング」はない
最後に、ブランディングはマーケティングに内包される考え方ですが、それらは表裏一体であり、同時に行っていくものです。「このタイミング・フェーズになったらやればよい」というようなものではありません。
マーケティング施策を行っていく際に、ブランディングを意識し、モニタリングしていくことを怠ってしまうと、確実に効果が薄れるフェーズが現れます。よって、私は初期からブランディングを定量化し、トラッキングを行っていくことを強く推奨します。