AIにより、深いインサイトベースでのターゲティングが可能に
MarkeZine:プラットフォーム側の立場から、Metaは「脱デモグラ」の潮流をどのように捉えていますか?
長谷川:ユーザーのニーズが細分化する中、Metaのテクノロジーやシステムもアップデートし続けています。たとえばMeta広告では、広告主が想定するターゲット層と実際のニーズとの間に生じる乖離を、機械学習によってカバーすることが可能です。これにより、従来は想定していなかった層における潜在的なニーズや興味関心を発見し、アプローチの範囲を拡大することができます。

この取り組みの代表例として、AIによる自動最適化を実現した製品群「Meta Advantage」と「Meta Advantage+」シリーズがあります。その中でも「Advantage+ショッピングキャンペーン(以下、ASC)」は、購買行動に対してアルゴリズムを強く打ち出していく製品となっており、多くのクライアント様および代理店様にご活用いただいています。人間によるセグメンテーションよりももっと深い、インサイトを捉えたアプローチをAI活用で実現していく方向性が強まっているのです。
清田:ADKでは、ECなどの購買のみを目的としたケースに留まらず、より幅広い用途でASCの活用が進んでいます。現在、社内の約半数以上のプロジェクトでASCが活用されている状況です。
たとえば、ターゲティングが困難なケースにおいてもASCは効果を発揮します。ターゲティング項目に希望する条件が存在しないようなニッチな商材の場合でも、ASCを活用することで、CVにつながるユーザーや購入意欲の高いユーザーへリーチできた例は複数あります。
従来のターゲティングではリーチできなかった層にもリーチ!
MarkeZine:デモグラのターゲティングに依らず、ASCを活用して成果が出た例を教えていただけますか。
阿部:金融商材を取り扱うクライアント様の事例を紹介したいと思います。この案件では、既存のデモグラ配信キャンペーンとASCキャンペーンを並行して実施し、効果検証を行いました。
既存のデモグラ配信では獲得効率の良い年齢層に絞って配信していましたが、ASCでは全年齢層への配信となるため、効率低下への懸念も当初ありました。しかしながら、開始初週からASCは高いパフォーマンスを示し、1ヵ月間の実績比較では、デモグラ配信と比べてCPAを27%削減することができました。

さらに注目すべき点として、ASCでは約10%が従来リーチできていなかった若年層からの獲得となり、新たなユーザー層の開拓という観点からも成果を出すことができました。商材の特性上、若年層はLTVが高く、積極的に狙いたい層でもあったため、そこで獲得を伸ばせたことにも大きな価値がありました。