質を高めつつ、制作本数は5倍以上に増加
MarkeZine:獲得効果の高いクリエイティブを出し続けるために、Metaパフォーマンス室で工夫されていることは他にもありますか?
西森:制作担当の割り振りにも気をつけています。業界では一般的に、企業や案件ごとにクリエイターがアサインされ、以降はそのクリエイターが担当し続けるというケースが多いと思います。細かなレギュレーションや過去の施策の流れを理解しているクリエイターが担当するほうがコミュニケーションの効率化が図れますし、広告主様にも「好きなテイストやトンマナ」があるので、同じクリエイターに担当してもらうことを好む場合が多いです。
しかし、こうした慣習が、クリエイティブが類似したものになるという課題に繋がってしまうこともあります。Metaパフォーマンス室では、できるだけ、同じ案件を同じ担当者が続けて担当しないように気をつけています。
MarkeZine:AIを積極的に活用しつつ、フレームワークを用いて一部仕組み化することで、クリエイティブ制作のフローを大きく効率化されていることがよくわかりました。数字で見ると、どのくらい制作本数を増やせているのでしょう?
西森:たとえば、予算的に月4本程度のクリエイティブを展開するのが限度の広告主様において、1度入稿したクリエイティブを1ヵ月間継続して使用するという方法では、運用調整は行えるものの、クリエイティブとしての効果は限定的になってしまいます。
現在のMetaパフォーマンス室では、単なる色違いやコピーの差し替えではない、デザインとしての実質的なバリエーションを持つクリエイティブを20~30本規模で提供しています。そしてこれら多数のクリエイティブに対して継続的なPDCAサイクルを回しています。
現在の仕組みを、動画領域にも拡大していきたい
MarkeZine:クリエイティブ・ファーストな運用組織を目指して、今後さらに強化していきたいこと、新たにチャレンジしたい取り組みはありますか?
西森:今回お伝えしてきた静止画を中心に展開してきた仕組みやツールを、今後は動画領域へと拡大していきたいです。動画制作には音声や複数のコマ割りなど、より多くの変数が関係してくるため、制作の難しさは格段に上がります。実際、制作原価は静止画の4倍から7倍になることもあります。

しかし、ユーザーの行動変化とプラットフォームの方向性を見ると、動画へのシフトは必然的な流れでしょう。特に重要なのは、制作×配信を組み合わせた効果測定と改善のサイクルです。これまでの取り組みから、配信結果を次のクリエイティブにつなげる体制は整っているため、この強みを活かして動画領域でも効果的な展開が可能だと考えています。
より効率的で効果的な動画制作の方法を確立し、広告主様に対して「私たちのやり方なら実現できる」と提案できる体制を整えていきます。
