SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

若者の「社交性」が減衰…何に価値を感じる?事例&調査に見るパーティー文化とブランドの勝ち筋

「特別な体験ニーズ」に応える。タコベル - Live Más

画像を説明するテキストなくても可
タコベルの公式YouTubeチャンネルが公開する「Taco Bell Presents Live Más Live 2024」より

 タコベルは米国に本社を置き、メキシコ料理にインスパイアされた、独自のタコスやブリートなどを販売している、ファストフードチェーンになります。

 2024年には、タコベルのキャッチフレーズである「Live Más(自由に生きよう!)」を銘打った、ライブイベントを配信して話題になりました。動画にあるように、まるでアップルの製品発表を模した形式(ステージ上で登壇者がプレゼンテーションを発表する)で行われ、司会はラッパーであるArmani Whiteが担当。新メニューの発表や、タコベル曰く「想像を絶する食の革新」のために、今後の商品開発をともにする新進のシェフたちの紹介が行われました。他にも、タコベルアワード(メニューやファンを表彰)や、有名アーティストによるステージパフォーマンスなど、終始一貫してファンを楽しませる内容となっています。

 このイベントはタコベルのマイクロサイトやYouTubeでの配信。それ以外にも、多くのメディアやソーシャルメディアでも取り上げられ、それが延べ約70億インプレッションに達するほど、大きな話題となりました。ブランドコミュニケーションを、一つの催事(ファンイベント)として実施したことで、成功した好事例となっています。ちなみに2025年の「Live Más」は、2025年1月28日にラスベガスで実施予定だそうです(気になる方はタコベルの公式YouTubeチャンネルをチェックしてみてください)。

 実際に多くの生活者からは、ブランド主催イベントへのニーズが伺えます。多くは広告ではなく、イベントを通してブランドとエンゲージメントを図りたいと考えているようです。

画像を説明するテキストなくても可
クリックすると拡大します

 またその理由として、ブランドの資産や資本力を活かし、イベント自体を通して特別な体験を提供してほしいと期待も見受けられます。

 たとえば、2023年のNBAオールスターでは、アメリカンエクスプレスは「Outside The Court」と銘打ったイベントを、試合が行われる週末に開催(BizBashの記事より)。NBA選手とのミート&グリート、有名アーティストによる音楽ライブ、ファン参加型ゲームや、オーダーグッズのショップなどを展開。単なる試合のスポンサーだけでなく、試合を訪れたファンや、開催地の地元に対して、観戦以外の体験を提供し、生活者との間に深いエンゲージメントを築くことに成功しています。

まとめ:パーティーの再定義

 今回の記事ではいくつかの事例を挙げながら、生活者の(特に若年層の)パーティーに対するインサイトを紹介しました。外出はせず(パーソナルスペース:Stella Artoisの事例)、お酒は飲まず(ソバージェネレーション:Liquid Deathの事例)、大型イベントは社会正義の実行の場となり(社会正義の実行:Deep Tropicsの事例)、そしてブランドに対しては広告ではなくスペシャルな体験を求める(特別な体験ニーズへの対応:タコベルの事例)。

 賢く楽しみ、社会的な意義を求め、より特別な体験を求める生活者を見ると、パーティーが消滅しているのではなく、(1)パーティーが従来とは違う形式で行われるようになってきた、と捉えられます。

 さらに、この背景には(2)パーティーの恒常化が起こっているとも考えられます。ウォッチパーティー(Netflixの事例)のように、メディア環境の発達にともない、気軽に場の共有ができることは大きな変化だと思います。たとえば、音楽ストリーミングサービスは常に再生されており、TikTokのスレッドでは絶えずダンスが流れていることを考えると、言わば今の生活者は、何かしらの形で日夜パーティーに参加しているとも言えるかもしれません。

画像を説明するテキストなくても可
クリックすると拡大します

 体験が提供できること、共感性を得やすいことから、現在も多くのブランドが、イベント出展/主催/スポンサーシップなどを通して、生活者との関係構築を図っています。同時に、生活者の大きく変化するパーティーへの意識を捉えられるかは、今後の大きなポイントになってくるかもしれません。今回の記事が参考になれば幸いです。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/01/23 07:00 https://markezine.jp/article/detail/48053

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング