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明治会員ID&明治ポイント、本格運用へ。メーカーが押さえるべきマーケティングDXの三要件

 ファーストパーティーデータの収集やそれに基づくパーソナライズの取り組みがますます重要視される昨今。メーカー企業では流通と比べて顧客との直接的なつながりが作りにくい状況が続いていた。そこに“顧客目線のモデルケース”を新たに示そうとするのが、大手食品メーカーの明治だ。同社は2024年1月、顧客価値の最大化に向けた取り組みとして「明治会員ID」「明治ポイント」のサービス提供を開始。独自性がありながらも生活者・流通に使われやすい仕組みを採用し、エコシステムの構築、マーケティングDXに向けて大きな一歩を踏み出している。今回はこのプロジェクトの推進担当者らを取材。その概要や経緯を通じて、メーカー企業が目指すべき生活者やその他ステークホルダーとの新たな関係の在り方、乗り越えなければならない壁と、明治流の解決方法を探った。

合弁会社の設立も。事業横断的なマーケティングDXへの大きな挑戦

━━本日は明治のマーケティングDX戦略についてうかがいますが、初めに皆さんの業務領域、お立場を簡単に教えてください。

画像を説明するテキストなくても可
(写真左)株式会社明治 価値創造戦略本部 戦略推進部 コンテンツ開発G長/明治ホールディングスグループDX戦略部兼務 川端善也氏
(写真中央)同 コンテンツ開発グループ 栗原俊祐氏
(写真右)株式会社 Wellnize 代表取締役 兼 執行役CEO 木下寛大氏

川端:価値創造戦略本部戦略推進部は、明治の中でいわゆるDXの取り組みを推進する組織で、私はグループ長として全体を見ています。具体的にはアプリなどを通じたデジタルサービスの企画立案および実行、ブランドを横断するようなキャンペーンの推進をしている立場です。また、明治ホールディングスのグループDX戦略部という組織も兼務しており、明治グループ全体のDX推進と事業会社との足並みを揃え、実行していくための橋渡しをしています。

栗原:川端と同じコンテンツ開発グループの栗原です。2025年1月から開始した「明治会員IDサービス」および「明治ポイント」に関わる全般を担当しており、キャンペーンや、クーポンの企画、運用、システム開発などを一貫して管理する立場です。

木下:先述の「明治ポイント」に関連するプロジェクトで、戦略の構築やシステム開発の領域に携わっている、Wellnize(ウェルナイズ)の木下です。元々、本プロジェクトには私が現在代表を務めるCo-Liftという企業のコンサルティングおよびソフトウェア開発事業の立場から関わっていました。その後、同じく本プロジェクトの推進に関わっていたゲキジョウ社との合弁会社という形で立ち上がったのがWellnizeです。2024年9月には明治から出資を受け、三社の合弁会社となりました。現在ではWellnizeでも私が代表となり、本プロジェクトによって生まれたサービスのマーケティンググロースまで一緒に取り組んでいます。

メーカーである明治が独自の「ID」「ポイント」サービスを開始

━━栗原さんからもご説明ありましたが、明治ではこの度、2025年1月14日から新サービスとして「明治会員IDサービス」および「明治ポイント」の提供を開始されたとうかがいました。まずはその概要をお教えください。

栗原:「明治会員IDサービス」は、文字通り、明治が提供する会員サービスです。これまで当社では、事業ごと、あるいはブランドごとにサービスを展開してまいりましたが、今回は当社で初めて、全社横断的な会員サービスを展開することとなりました。

 会員向けにご用意している特典は、主に三つございます。

 一つ目は会員が使える「公式アプリ」や「公式サービス」。明治ではデジタルマーケティングの取り組みの一貫として、生活者の皆様に向けた複数のアプリ、サービスを展開しており、その利用はすべて、この会員IDによって可能となります。

画像を説明するテキストなくても可
それぞれ、明治が展開する四つのサービス(各公式ページより抜粋)。左上が毎日簡単に育児記録ができるアプリ「赤ちゃんノート」。右上が食事記録・管理栄養士アドバイス・スポーツ栄養学を通じて、手軽な栄養セルフマネジメントに貢献するアプリ「ザバスー食事記録とスポーツ」。左下が唾液から免疫力を検査するサービス「免疫チェック」。右下が腸内細菌の検査を基に腸内タイプにあった素材を配合した商品を届ける「インナーガーデン

栗原:二つ目は「会員限定のキャンペーン」へのご参加が可能になること、そして三つ目が「明治ポイント」やそれに付随したクーポンの獲得、利用ができることです。

━━「明治ポイント」とはどのようなものでしょうか?

栗原:明治が会員の方に向けて発行・付与する独自のポイントです。明治会員として登録いただいた生活者の皆様には、たとえば「明治が提供するアプリの新規ダウンロード」といった機会に行うキャンペーンへの参加や、各種サービスの利用を行うことで、一人ひとりの会員IDに紐づいてポイントが付与されます。また、広報活動との連携も進んでおり、たとえば工場見学や食育セミナーに来ていただいた方にポイントをプレゼントする取り組みも始まっています。

━━なるほど。では、そのポイントはどのように利用できるのでしょうか? 生活者としては各種コンビニやドラッグストアなどの流通系のポイントサービス、値引きクーポンなどに慣れ親しんでいますが、そうした店舗での利用はどのように考えていますか?

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メーカー独自でありながら「あくまで顧客が利用しやすい仕組み」

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/07 08:00 https://markezine.jp/article/detail/48170

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