メーカー独自でありながら「あくまで顧客が利用しやすい仕組み」
栗原:付与されたポイントは会員向けの専用サイトからログインいただくことで、獲得したポイントを確認でき、また貯めたポイントを使用して、クーポンなどと交換できるようになります。
栗原:現在メインとなるのは、明治の商品と引き換えできるクーポンです。今後は限定グッズなどの景品や、会員限定のキャンペーン/イベントへの参加権なども引き換え対象として検討しています。順次ご用意していく予定です。
そして、このデジタルクーポンについては、お客様視点で「付与型のクーポン」と「獲得型のクーポン」の2種類をご用意しています。付与型のクーポンは明治会員のお客様皆様に明治から直接プレゼントするクーポンのこと。一方、獲得型のクーポンは、先ほどお話しした明治ポイントとお客様自身が引き換えることで獲得いただけるクーポンです。
付与型のクーポンは我々明治からクーポンを届けたい方に渡しやすい仕組みで、特定商品の販促には適しています。一方でお客様がクーポンを選べないというデメリットもあります。それを補うのが、獲得型のクーポンです。ポイントからクーポンに交換する手間といったデメリットはありますが、お客様がポイントと好きな商品を選んで交換できるのが大きなメリットです。
また、クーポン交換可能企業としては明治商品をお取り扱いの主要なコンビニ、大手ドラッグストアとの連携が進んでおります。
このように、明治独自のID/ポイントサービスでありながら、お客様視点の利用のしやすさ、流通企業様における販促効果を意識した仕組みとしました。
幅広いブランドを持つメーカーだからこそ「点」から「面」へ
━━これらサービスの背景には、やはりDXによるマーケティング活動の高度化や、それによる顧客への提供価値の向上、創出という目的が思い浮かびます。立ち上げに至った狙いをお教えください。
川端:明治の強みの一つは、幅広い世代・シーンに対応したブランド展開、商品ラインアップです。しかしこれまでは、お客様が複数ブランドと接する機会があったとしても、各ブランドの取り組み・体験はそれぞれ一つの「点」でしかなく、ブランド間のつながりはあまり感じられていなかったと思います。
ライフステージに合わせてブランド間をシームレスにつなぐ、あるいはシーンに合わせて「面」で捉えられるようにできれば、お客様による「価値理解→価値体感→継続利用」というサイクルをブランド単体ではなく明治全体という単位に拡大でき、LTVが最大化することができます。その起点となるのが、明治会員IDです。IDを使ってお客様の消費行動に合わせて利用可能な独自の仕組みを構築することで、事業・ブランドを横断したシームレスな顧客体験を提供しようと推進してきました。
━━具体的には、どのようなジャーニーになるのでしょうか?
川端:先ほどの通り、明治にはブランドに応じて展開しているWebサービスが既に四つあります。明治会員IDの取得後、まずはこれらのサービスや各ブランドアプリ、Webサイトから商品価値や付加価値を理解していただきたいのですが、クーポン交換はそのハードルを下げるフックであるとともに、商品価値を体感していただく段階として機能します。さらには、明治ポイントの存在によって、お客様の継続利用を実現していく、という流れを想定しています。
━━「独自のポイント」という言葉も以前よりは多く聞かれるようになってきましたが、御社では、お客様の利用ハードルを低くする、あるいは使いたくなる仕組みとして設計をかなり重要視されていたようですね。他にも意識された点はございましたか?
木下:こうしたポイント活用は珍しいものではなくなってきましたが、先ほどのような LTV向上の戦略を成功に導くためには、実現されていなければならないことが、大きく三つあると考えています。