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MarkeZine Day 2025 Retail

スポーツ×デジタルマーケティングの現在位置を探る

17万名招待にIPコラボ、すべて「顧客」が主語/過去最多入場を記録したJリーグを支えるマーケ戦略


これまでのJリーグが抱えていた課題とは?

平地:Jリーグの目標や9segsの活用方法は理解できました。元々Jリーグは「年間3回見ればサポーターになる」というところから、初回来場からF3転換させるまでに注力している印象がありました。その中で9segsを採用したのにはどのような課題や背景があったのでしょうか。

プラスクラス・スポーツ・インキュベーション株式会社 代表取締役 平地 大樹氏
プラスクラス・スポーツ・インキュベーション株式会社 代表取締役 平地 大樹氏

鈴木:F3転換に関しては、引き続き重視しています。その上で9segsの導入には、2つの課題・背景がありました。

 1つは、Jリーグのファン・サポーターは新規層からライト層、コア層すべてのデモグラフィック属性に大きな差がないことです。

 そのため、観戦・視聴頻度による関与度と関心の高さでセグメントを分けたほうが効果的なマーケティングができると思い、9segsを採用しました。

 もう1つは、これまでのJリーグのプロモーションが既存ファン向けに偏っていたことです。

 Jリーグの興味関心度を定点調査しているのですが、実は2021年まで年々1ポイントずつ下降し続けていました。入場者数は増えていたものの、その多くが既存のJリーグファン・サポーターで新たなユーザーを呼び込むところに貢献できていませんでした。

 これら2つの背景から、デモグラフィック属性に依存せず誰向けの施策なのか明示しやすく、共通認識を持って議論しやすいフレームワークとして9segsの導入を決めました。

平地:共通認識を持って会話できるのは、大きなメリットですよね。とはいえ、9segsを理解浸透させるためのコミュニケーションも必要だったと思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。

鈴木:Jリーグのスタッフはもちろん、各クラブの方にも説明する機会を何度か設けました。また、Jリーグ主導で行うマーケティング施策には「9segsのこのセグメントにアプローチする」という説明を入れるようにしています。

 その結果Jリーグ内はもちろん、クラブ側にも9segsの考え方が徐々に浸透しています。クラブによっては、クラブ独自の9segsを作成してマーケティングに取り組んでいるところもあるくらいです。

 課題となっていた興味関心度の低下も解消され、毎年1ポイントずつ上昇する好循環が生まれています。

大型の招待キャンペーンで新規層を急速に獲得

平地:ここからは、2024シーズンの好調を支えた施策・事例について伺います。2024シーズンは開幕期や夏休み時期などに大型の招待キャンペーン(例:開幕17万人招待キャンペーンなど)が印象的でしたが、どのような設計で施策を行っていたのでしょうか。

鈴木:先ほど平地さんがおっしゃってくださった「年間3回見ればサポーターになる」というのは今も重要な考え方です。大規模な招待施策は、その1回目となる来場機会を作ることを目的としています。

 基本設計としては、各種広告やPRを活用して、キャンペーン特設サイトに誘導し、対象試合への招待を促します。招待キャンペーンの応募にはJリーグIDの登録・お気に入りチームの登録が必須となるため、新規会員の増加につながるのはもちろん、その後のCRMにも活用することができます。

 この設計をもとに開幕期やGW・夏休み期の試合における招待キャンペーンを実施し、非連続的な成長のきっかけを生み出しています。

平地:こうした大型のキャンペーンを成功させるためには、相当大規模なプロモーションが必要になると思いますし、開幕期とGW・夏休み期では効果の出るメディアも異なると思います。どのような設計を行っていたのでしょうか。

鈴木:おっしゃる通り、時期によってメディア選定は変えていました。たとえば、開幕期のプロモーション時期は1月下旬頃になってしまいます。この環境だと新規の方や乳幼児連れのファミリー層に直接アプローチしても、来場いただくのは難しいと思います。そのため、開幕期は既存ファン・サポーター向けのプロモーションを強化し、ファン・サポーターの心に火を付け、周りの友人・家族を誘って観戦に来ていただくことを狙いました。

 具体的には、「Jリーグのある日常」と題したサポーターあるあるで共感を生むコンテンツや開幕の盛り上がりを煽るテレビCMなど、既存ファン・サポーターに共感していただける発信を強化しました。

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GW・夏休み期はTHE国立DAY&人気IPコラボで集客を加速

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/20 17:12 https://markezine.jp/article/detail/48276

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