開発時のデータ、リサーチがプロモーションや新商品に活きる好循環
MZ:商品開発後は、お客様に認知して買っていただく努力も大切かと思います。その点はどのような取り組みをされたのでしょうか。
櫻井:我々の強みは、商品発売後の認知・購入のプロモーション、購入後のレビューやリピート促進のアプリプッシュまで、購入前から購入後までを支えるプラットフォームが用意できています。
たとえばKNOWLEDGEの場合、2024年9月に新商品のクリームをラインナップに追加し発売することになりました。その際、KNOWLEDGE商品の購入者に加えて、KNOWLEDGE商品は未購入でも新クリームには興味のありそうな方を分析から導き出し、アプリのプッシュ通知で商品を紹介しました。それにより販売数が急激に伸びています。
また、洗顔料のみご購入のお客様には化粧水や乳液の有効性などをLPで訴求したりプッシュ通知を送ったりしますし、お客様の商品購買間隔を計算し、なくなる頃にプッシュ通知を送っています。このようにクロスセルやアップセル、リピートを促進し、LTVを上げる努力もしています。

MZ:ちなみに商品ラインナップはどのような基準で拡充されていくのでしょうか。
櫻井:ラインナップの拡充に関しても、データを分析した上で判断しています。たとえば男性化粧品では、ヘアケアラインから販売すると、その後にスキンケアラインを出しても購入に至らないことが分析からわかっていました。
ですからKNOWLEDGEは、ヘアケア・スキンケア両方の商品を同時に発売しています。他にもKNOWLEDGEのターゲット顧客が別のブランドの美容液やフェイスマスクなど、KNOWLEDGEの品揃えにないどんなアイテムを購入されているのか分析し、ブランド拡大の可能性を考えて次のラインナップを決めています。
第三者データも駆使し、まだ見ぬニーズ・インサイトを見つけ出す
MZ:最後に今後の展望を教えてください。
櫻井:データ分析の確度に磨きをかけ、ヒットの確率を上げていくことですね。これからは自社以外の外部データも活用していく予定です。コスメのクチコミデータが豊富なLIPSを運営するAppBrew社が当社グループに参入しましたし、弊社のDMPの中にさまざまなデータが溜まっていき、さらに多彩な視点での分析が期待できるのではと考えております。
メーカー様の既存ブランドにはすでに愛用者がいらっしゃる分、今までと違うチャレンジングな展開をすると既存愛用者の離脱を招きかねず、ブランド棄損しない新規ブランドの立ち上げは結構難しいのです。我々と協業いただき、弊社の購買データを用いれば、そのメーカー様の商品がどのブランドの何と一緒に買われているのかもわかり、深い分析が可能です。
それは大きなメリットなのではないでしょうか。共同開発にて既存商品での未達部分にリーチし、ブランド視点で見た時にも価値を見出していただければと思っています。
MZ:今後、作っていきたいブランドはありますか。
櫻井:マツキヨココカラ&カンパニーは、男性のお客様も大事にしていますが、女性のお客様からの多大な支持を得ていますので当社の強みとして化粧品部門、ビューティ部門が全体構成の40%を超えているのです。
女性のライフスタイル全体がターゲット市場で、化粧品カテゴリーでは4月に新たなビューティPBブランド「matsukiyo CONCRED(コンクレッド)」を立ち上げます。また、ジムに通いボディスタイルを維持したい女性向けに、プロテインやアミノ酸などのmatsukiyo LABアスリートラインも好調です。今後もデータとリサーチの両輪で顧客のインサイトをつかみ、喜んでいただける商品を生み出していきたいです。
