ターゲットにより異なる「求めている商品」を探り続ける
━━昨今では「キダルト消費」という言葉が出てきたように、「かつて子ども向けだった様々な商品」にハマる大人世代は増加しています。子ども向けのノウハウを活かし、大人向けの事業開発やコミュニケーションに取り組もうというブランドは今後も増えることが予想されますが、実際に取り組んでこられた貴社として、ハードルに感じられたことはありますか?
大人のファン向けにアンケートやヒアリングをした結果、「ほっぺちゃん」を購入している層は、自分のために購入している大人が半分、母親になられた人が自分のお子さんに買っているのが半分、ということがわかりました。

しかし、それぞれに訴求するにしても、求めている商品や価値観が異なるので、難しさを感じました。お母様向けに考えると、教育に寄り添った商品になりますが、自分のために購入している大人向けを考えると、「魔法少女」や「夢かわいい」といった世界観の商品になるのです。さらに当社の場合は、「サン宝石」と「ほっぺちゃん」の2軸で検討する必要があります。
結果的には、差別化しやすい「ほっぺちゃん」で取り組むことにしました。現在のコーナー展開の取り組みにより、お母様が「ほっぺちゃん」を見て足を止め、お子様も「何これかわいい」と気づき、購入に至るといった流れができています。
ちなみに、自分のために購入している大人と直接話がしたいと思い、2024年末にファンの方々を集めてミーティングを行いました。「何か商品を作りましょう」という話になり、今やり取りしているところなので、今後答えが出てくると思います。
デザインに柔軟性を持たせ、協業を通して大きなムーブメントを狙う
━━今後も他の企業と、「ほっぺちゃん」でコラボすることがあると思います。協業する企業にはどのようなことを期待しますか?
コラボレーションするときは、どこまで熱意を持って一緒に取り組んでいただけるか、を一番に考えています。
通常であればライセンシーの企業は、固定化された版元のブランドやキャラクターのデザインを基に商品を作ります。しかし、当社が版元となる場合は、コラボ先の希望も叶えつつ、デザインに柔軟性を持たせて、1コンテンツではなく2コンテンツを盛り込んで商品展開するようにしています。そのほうが、大きなムーブメントになりやすいからです。
各社ともにレギュレーションが厳しい部分もあるとは思われますが、このような提案をしたときに、一緒に動いていただけるかどうかが大きなポイントだと思います。
━━最後に、今後のサン宝石事業部の取り組みについて、展望や意気込みをひとことお願いします。
現在は、「ほっぺちゃん」を手作りできる「ほっぺちゃん手しぼりキット」を使った、ワークショップ「ほっぺちゃんしぼり体験」のパッケージ化を進めています。元々卸売販売する予定でしたが、企業や商業施設、イベント事業会社が開催するイベント時の企画として、多くの依頼をいただいたためです。
また、インバウンドだけではなく、海外へのアウトバウンドのための商品展開も考えています。当社の場合、ライセンスに対し、ある程度柔軟に対応できることが他社と差別化できるポイントだと思います。どのように展開していくかは、今後も時代の流れや自社の状況を見ながら、臨機応変に取り組んでいきたいと考えています。