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平成女子が親しんだ「サン宝石」「ほっぺちゃん」に学ぶ、時代転換の戦略━━“キダルト”とブランド再興

 少子化や人口減少が止まらない中、「長年にわたって愛され続ける」「もう一度手に取りたくなる」ことは、多くのブランドにとって今後重要な視点となる。かつて、小中学生の女の子たちにとって「サン宝石」は、アクセサリーやコスメなどを手軽に購入できる通販カタログだった。特に2010年に誕生した「ほっぺちゃん」は象徴的な存在として現在まで親しまれている。2021年の民事再生を経て体制変更が行われた今、「サン宝石」「ほっぺちゃん」ブランドの存続とさらなる進化に向けて、どのような施策を講じているのか。サン宝石事業を運営する株式会社みっとめるへん社の神崎仁美氏にうかがった。

メインミッションは「サン宝石」「ほっぺちゃん」ブランドの存続

━━はじめに、神崎様が現在取り組んでいる業務領域、ミッション、また「サン宝石」というブランドと、その事業の概要について教えてください。

神埼さまお写真
株式会社みっとめるへん社 サン宝石事業部 神崎仁美氏
サン宝石公式TikTokへの出演の様子はこちら

 現在はサン宝石事業部のメンバー20名と一緒に、「サン宝石」が扱う各種商品・サービスと自社独自の人気キャラクター「ほっぺちゃん」を広く展開していく取り組みをしています。「サン宝石」は元々カタログ通販を主としたBtoC事業でしたが、2021年の民事再生後は、BtoB(BtoBtoC)事業にも本格的に着手しました。BtoB事業は、これまでのBtoC事業とは異なる視点や戦略が求められるため、両軸のバランスを取りながら、事業体制を組み立てているところです。

ブランドのイメージ画像

 収益構造も、ここ数年で大きく変化しています。2023年は収益の75%を通販事業が占めていましたが、2024年は卸売事業とIP事業で約50%、ポップアップストアなどのイベント事業が約50%になっています。その他にも、メルマガやSNS、イベントでのチラシ配布などによる広告事業も行っています。

 当社では、長年の通販事業で築き上げてきた、BtoCのプラットフォームが既にあることが強みです。卸売事業やIP事業など、どのような事業をするにしても協業できますし、様々なBtoB事業で他社と協業して、世の中に「サン宝石」や「ほっぺちゃん」の認知が広がることで、目にしたファンが最終的に当社に戻ってくることも見込んでいます。

ファンの声やクラウドファンディングで感じた「ブランドを潰してはいけない」という想い

━━現在のBtoB事業が成り立つ背景には「サン宝石」として蓄積してきたブランド価値が大きく関わっていると感じます。現在の事業モデルへと至った経緯や背景をうかがえますか?

 私が入社した2005年当時、「サン宝石」のカタログ通販は、「通販で低価格にアクセサリーが手に入る」というサービスとして競合が少なかったこともあって、中学生や小学校高学年などを中心に人気があり、売上は好調でした。

 しかし時代が変わり、携帯電話、スマートフォンが普及すると購買チャネルの大部分を占めていたハガキ注文から手が遠のき、さらに低価格なブランドの競合も増えたことで、苦戦するようになりました。2010年に誕生した当社オリジナルのキャラクター「ほっぺちゃん」は大人気を博しましたが、徐々に事業は縮小。状況を挽回するために様々なチャレンジをしたものの、2021年8月には民事再生手続きをすることになったのです。

 民事再生のことを知ったファンの方々からは、SNS上で「青春が全部なくなっちゃう」「サン宝石をなくしたくない」といった声をたくさんいただきました。「潰れて欲しくないので、クラウドファンディングをしてください」という声も多くいただいたので、カタログ印刷の資金集めとして実施したところ、たくさんの応援メッセージとともに最終的には目標値を大きく超える1,200万円の資金が集まりました。

当時のクラウドファンディングでの状況と届いたコメント
当時のクラウドファンディングでの状況と届いたコメント

 このようなことがあり、「サン宝石」や「ほっぺちゃん」のブランドを潰してはいけない、踏ん張ってくれているメンバーやファンの気持ちも汲んで、「どのような形でもかまわないから事業を継続させなくてはいけない」と考えるようになりました。私自身も、元々ファンだった立場から、「サン宝石」で働きたくて入社していますから、同じ想いでした。

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アミューズメント市場に進出 大規模なコーナー展開も実施

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/03/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/48382

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