成長の後ろ盾。活かすべき環境と欠かせないコミュニケーション
━━企業が動画やWebコンテンツなどのオウンドメディア運営を行う際、課題となるのが「費用対効果がわかりにくいこと」「売上への貢献が見えないこと」です。社内理解を得るためにどのようなコミュニケーションを心がけていたのでしょうか?

小坂:正直なところ、社内理解が“正式に”いただけるようになったのは、2023年7月の登録者数10万人を達成したタイミングだと思います。
では、それまでどうしていたかと言うと、実は最初から「やってみてもいいのではないか」と全面的な理解をいただけていた状況にありました。先ほどお話ししたように、新しいことへのチャレンジを後押しする企業風土があるからです。
そもそも広報部では部門の特性から、社内で立ち上がっている様々な取り組みの情報がいち早く寄せられます。発信のネタになる情報が手に入りやすい状況だったことに加えて、先ほどの「社会見学」のように、社内のあちこちから「こういうのもできるのでは」と提案をいただけたことには大いに助けられてきました。
10万人達成後は社内の協力もさらに強まり、たとえば著名インフルエンサーの方とのタイアップ企画があったら、「稲葉も一緒に出演できないか」など、様々な方から進言いただくようになりました。
━━稲葉さんも会社全体からのサポートを実感することはありますか。
稲葉:そうですね。情報もそうですが、会社全体で支えていただいている実感はあります。動画編集で協力していただいているパートさんをはじめ、多くの方の支援を受けながら活動出来ることには感謝していますし、社員や店舗へ撮影に行った際には、店舗の従業員さんからも「見ているよ」とお声がけしてもらうこともありますので励みになっています。
社内理解で言えば、撮影する店舗とのコミュニケーションもやはり大切です。動画編集で協力していただいているパートさんをはじめ、多くの方の支援を受けながら活動出来ることには感謝していますし、社員や店舗へ撮影に行った際には、店舗の従業員さんからも「見ているよ」とお声がけしてもらうこともありますので励みになっています。
「貢献可視化の仕組み」「SNS横断体制」の構築へ
━━動画施策に関して、今後挑戦していきたいことがあれば教えてください。

小坂:まずはYouTubeを通じたファン作りについて、その成果を分析し直し、KPI設定や継続目的をしっかり組み直したいと思っています。
まさに先ほどご指摘にあったように、費用対効果が見えにくい点は大きな課題の一つです。現状可視化できているのは視聴回数や登録者数ですが、目的に対する成果を正しく分析するために、どのように深く掘り下げるかは検討しなければなりません。10万人登録の達成後、「次は100万人を目指そう」という目標はもちろんあるのですが、事業として重要視すべき指標でもその成果を確認したいものです。たとえば、動画が来店につながっていることを可視化する仕掛けが実現できないか、といったことを考えています。
もう一つはSNSの連携を高め、動画の横展開を促進することです。くら寿司ではYouTubeのほかにXやInstagramのアカウントがありますが、現状はこれらすべてを一つの部門で管轄しているわけではありません。実は以前、「お皿の行方」のショート動画をInstagramのリール向けにアレンジして配信したら、元の動画以上の反響があったということがありました。このように、今後はYouTubeだけで結果を出すのではなく、それぞれのSNSの特性を活かし、横展開することで認知拡大とファン作りを進めていきたいと考えています。
稲葉:個人的には、現在ショート動画でできることはほとんどやり尽くしたと思っているので、また新しい表現を見つけていち早く取り組みたいですね。最近は生成AIで動画を作ることが注目されていますが、私は逆に自分たちで話し合ってまだ世にない新しいものを開発していく方が良いと思っています。これからもメンバーと共に、新しくて楽しい表現を追求していけたら嬉しいですね。
