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ブランド指標からROIまで定量化&データドリブンに戦略を策定――JQ CARDの成長戦略策定プロセス

ROIを計算し、施策の優先順位を明確に

 次に、木村氏は特に重要だと位置づける「実行への落とし込み」フェーズについて解説した。具体的には下の3ステップだ。

  【1】の施策一覧化においては、「誰に(Who)」「何をしてもらうか(What)」を縦軸、クーポン、駅内での認知獲得など、実行すべき施策を横軸に配置したマトリクスを作成。各施策が戦略目標にどれだけ貢献するかを評価するフレームワークを採用している。

 さらに、各施策の実施によって得られる「利益」と、必要な「投資コスト」を算出し、ROIを計算。「クレジットカードは積み上げ型のビジネスのため、短期だけでなく長期的な視点でROIを見る必要がある」と、時間軸の捉え方の重要性も木村氏は強調した。

 最終的な評価基準として、短期的ROI、長期的ROI、実現可能性(半年以内に実行できるか)、ブランドとしての適合性(JR九州らしさ、JQ CARDらしさ)などの観点から、総合的に評価し、当年度実施するものと、翌年度以降に実施するものを整理した。こうした緻密なプロセスにより、施策の優先順位が明確になり、限られたリソースで最大の効果を生み出すための意思決定が可能になったという。

 木村氏は「魔法のような施策はありません。データに基づいて一覧化し、計算して、絞り込むというステップが成果につながります」と述べた。

戦略策定で終わらず、意味のある戦術の実行を

 最後に、今回のプロジェクトの重要ポイントとして、次の2つの観点が紹介された。

1.ブランドパワーおよび顧客視点での分析をもとに、既存顧客と新規顧客、両方へのアプローチを同時に進めること

2.戦略は策定して終わりではない。実際の戦術にしっかり落とし込み、それを実行していくこと

 山田氏は、今回のプロジェクトにおける手ごたえをこう語る。

 「今回のプロジェクトを振り返ると、やはり定量化へのこだわりがポイントになったと思います。たとえば、このセグメントの顧客には1,000円クーポンがいいのか、500円クーポンがいいのかなど、細部までクロス分析を徹底して行いました。それらの分析結果を踏まえて、実際に意味のある戦術を構築し、実行することが重要だと改めて感じました」(山田氏)

 山田氏のコメントに対して木村氏は「山田さんご自身が数字にこだわっていたからこそ、細かく施策をチューニングしていけた」とコメント。今後もJR九州では、既存顧客のLTV向上のためのクーポン配布による利用促進施策、新規顧客獲得のための360°認知施策、店頭での連動施策など、様々なマーケティング施策を実行していく予定だという。

 山田氏、木村氏ともに「ぜひ今後、JR九州に注目してください」と述べ、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/16 08:30 https://markezine.jp/article/detail/48596

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