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「簡単、トヨクモ」を世界へ 代表山本氏が語る、売上高成長率125%を支えるPLG型マーケティング

 売上高成長率125%、そしてサービス解約率0.7%という驚異的な数字を叩き出している企業がある。その企業とは、「安否確認サービス2」や「kintone連携サービス」、「トヨクモ スケジューラー」など、クラウドサービスを提供しているトヨクモだ。今回は同社の代表取締役社長を務める山本裕次氏をお招きし、同社の経営戦略に基づいた独自のシンプルながらも効果的なマーケティング手法についてインタビューをした。

「簡単でシンプル」こそが世界で通用する トヨクモの経営哲学

――最初に御社の展開しているビジネスについて教えてください。

 トヨクモは法人向けのクラウドサービスを提供している企業です。トヨクモではグローバル展開のできるSaaSの提供を目指しており、現在は独自のマーケティングモデルを構築しているフェーズです。

 その中で大事にしているのは「簡単、シンプル」ということ。プロダクトのUI/UXはもちろんですが、セールスやマーケティングについても簡単、シンプルであることが重要だと考えています。

 数十年前、家電製品といえば日本製でした。安くて簡単で使いやすいと、世界中から評判だったわけです。しかし今や家電はほとんどが中国製に置き換わってしまっています。中国の家電の方が安くて簡単で使いやすいからです。

 一方で日本はどうしたかというと高機能化、高価格化を目指しました。結果は言うまでもないでしょう。

 家電の話はほんの一例ですが、私たちが取り扱うクラウドサービスについても同じだと考えています。簡単でシンプル。それこそが世界で戦うためには最も重要な武器になるのです。

 たとえば現在展開している「安否確認サービス2」も、世界で戦うという目標やそこに到達する方法として「簡単、シンプル」が土台にあります。もちろん、「安否確認サービス2」は、災害の多い日本特有のサービスであり、これでグローバル展開を目指すわけではありません。

 「安否確認サービス2」の提供を通じて、市場シェアを獲得する経験や会社の経営基盤に関する知見を蓄積しています。

 勝てる場所で勝つ。経営の鉄則をシンプルに捉え、トヨクモは「安否確認サービス2」の展開を始めたのです。

長期的な視点で、世界で通用するPLG型のマーケティングを進める

――直近では売上成長率125%を達成したと伺いました。現場ではどのようにマーケティングを進めていらっしゃるのでしょう?

 最終的に世界へ展開することを目指し、PLG(Product-Led Growth)型のマーケティングを実践しています。

 これまで日本企業の多くは、販売代理店との連携を強める、営業組織を強固にするなど、SLG型(Sales-Led Growth)で売上を伸ばしてきました。しかし、弊社でグローバル展開を考えたとき、SLG型では勝てないという結論に至りました。

 グローバルで急速に成長している多くの企業はPLG型の戦略を採用しています。また、グローバル市場においてはユーザーが直接価値を体験できる、シンプルで使いやすいプロダクトを求める傾向が強く、トヨクモが掲げる「簡単、シンプル」の考え方であれば適応できると考えました。

 このような背景から、トヨクモでは世界進出を見据えてPLG型のマーケティングに取り組んでいます。そして、何よりも重視しているのが、短期的な成果に捉われることなく、長期的な視点でPLG型マーケティングを実践するということです。

 PLG型を採用する企業様の多くは資金を調達し、早期でシェア獲得を目指します。しかしそういった手段で資金を調達してしまうと、結局営業に注力するといった短期的な目線での活動を余儀なくされてしまうでしょう。

 弊社には世界を目指すという目標があります。そこに向かって着実に歩みを進めるためには、短期的な視点でのみ判断し、戦略が左右されるような状況は避けるべきだと考えています。

 こうした背景から、弊社では長期的な目線でのPLG型のマーケティングを採用しているのです。

――長期的な目線を持つというのは具体的にどういうことなのでしょうか。

 ユーザーがプロダクトを通じて得られる価値を最大化することに注力し、その結果として自然な成長を目指すというアプローチをしています。

 PLGの本質は、優れたプロダクトを作り、ユーザーに最高の体験を提供することに尽きます。使いやすく、価値のあるプロダクトは、口コミや検索を通じて自然に広がり、持続的な成長を生み出す力を持つと考えています。

 また、企業活動の中で発生したMRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)から逆算して人件費やマーケティングへの投資などに充てる割合を決めています。これにより、現状に合った人材・テクノロジーに投資しつつ、中長期目線でもどこまで成長が見込めるか予測しながら次の一手が打てています。

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/24 08:30 https://markezine.jp/article/detail/48619

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