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平均200万再生・Z世代に圧倒的な認知度を誇る『ドコモ×青春』に学ぶ、縦型ショートドラマ成功の秘訣

タイパ重視の若年層にも届く、縦型ショートドラマの強み

 縦型ショートドラマとは、スマホの縦画面に最適化されたフォーマットのドラマのこと。1話の尺が90秒前後と短く、コメントをしたり、書き込まれたコメントを読んだりしながら視聴するのが一般的だ。

 中矢氏によると、縦型ショートドラマには大きく3つの強みがあると言う。1つ目は圧倒的なリーチ力だ。地上波ドラマ1話(GP帯)の平均到達人数が110.6万人であるのに対し、ごっこ倶楽部が制作した1作品当たりの平均若年層リーチ人数は185.0万人にも上る。にも拘わらず、製作費はテレビCMのおよそ10分の1だという。

 2つ目は、フル視聴率が高いこと。平均尺が60〜180秒と短いため、タイパ重視の若年層も最後まで視聴する傾向が強く、フル視聴率は25〜30%に上るという。

 3つ目は、コンテンツ資産として残り続けるメリットがあること。たとえば今回のNTTドコモの縦型ショートドラマの場合、2024年4月のスタートから約10ヵ月が経過しているが、初期に投稿した動画も変わらず視聴されており、バズりを生み出すことに一役買っているそうだ。

縦型ショートドラマは、TikTokのおすすめにも載りやすい?

 なおGOKKOの知見によると、TikTokでバズリを生み出すプロセスは次のようなものだという。

 TikTokに投稿された動画は、視聴者の視聴行動やコメント投稿、いいねのクリック数などをベースにプラットフォームが評価する。特に鍵となるのが「フル視聴率」と「視聴時間」だ。両方が高ければ高いほど「良い動画」とされ、プラットフォームの「おすすめ表示」に掲載される。それを見た視聴者がさらに「いいね」やコメントを残し、フル視聴すればますます評価が高まっていく。「プラットフォームとしては、長くユーザーに滞在して欲しいので、『長く最後まで観られる動画』を『良い動画』と判断していると考えられます」と中矢氏は説明する。

 「ドラマの場合はストーリーがあるので続きが気になり、最後までユーザーを引き付ける力があります。しかもドラマだと、ストーリーのなかに企業のブランドイメージを入れて伝えていくことが可能です。そのため、企業マーケティングにTikTok縦型ショートドラマの活用をお勧めしているのです」(中矢氏)

ショートドラマの特徴

“一過性の話題”で終わらない強み

 中矢氏に続いて登壇したNTTドコモの梅津氏は、「縦型ショートドラマで若い世代にリーチできたと実感しています」と話す。前述したとおり、Z世代の50%がNTTドコモ公式アカウントを認知し、非認知者にくらべてブランドへの好意度も高いということで、Z世代とのブランドコミュニケーションは一定以上の成功を収めているといえる。

 梅津氏によると、同社は以前から若い世代へのリーチに積極的に取り組んできた。たとえば「#青春ビンゴ」というキーワードで、卒業という学生の代表的なモーメントに合わせ、若者の共感を呼ぶようなWeb CMを展開してきた。その一方、「プロモーション期間中は話題になっても、終了すると再生数が停滞してしまい、それ以降は拡散していかない」という課題を感じていたという。

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株式会社NTTドコモ ブランドコミュニケーション部 コーポレートブランド担当 梅津 舞氏

 そこで、「通年で若者との接点を増やし、ドコモに対する認知や好感度を上げて、エンゲージメントとブランドイメージの向上に努めたい」と考え、縦型ショートドラマの施策を決定。高校生をターゲットに、学生ならではの青春ドラマをテーマに週2〜3本のドラマ投稿を続けている。最近では認知の面を広げるため、YouTubeショートへの配信もスタートした。

 「過去のWeb CM施策の認知率はなかなか20%を超えられなかったのですが、この縦型ショートドラマでは過去の実績をはるかに超える数字が出ました。これにより、社内でも『良質なコンテンツを配信すると、オーガニックでもこんなに若者にリーチできるのか』と、正直驚いているところです」(梅津氏)

 スタート前に懸念していた「企業認知」も杞憂に終わった。中矢氏が言うように、ショートドラマはストーリー展開があるためフル視聴するユーザーが多く、視聴中に動画画面の左下に出ている「NTTドコモ」のアカウントマークに気づく人が多いのだという。

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「前例のない施策」を実行するために取り組んだこと

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/22 08:30 https://markezine.jp/article/detail/48768

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