SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

探訪!時代をとらえ、成果につなげるテレビ活用術

「大人エレベーター」が今の若者にも刺さる理由は?サッポロ黒ラベルに学ぶ“余白ある”CM戦略

CM出稿量の増加にともない、好感度や購入意向が上昇

 CMの直接的な効果でいえば、CM認知率と、CM視聴後の購入意向の推移が伸びています。特に2023年と2024年の比較でいえば、2024年は購入意向が大きく伸びました。その要因の一つとして考えられるのが出稿量です。CMに接触する人が増え、コミュニケーションが増えることで好意度も上がってきたと考えています。CMの伸びしろがあった部分にしっかりお届けすることで指標自体も上がったのでしょう。

画像を説明するテキストなくても可

 よく言われることですが、最終的な成果は複合的な要因から成り立つため、CMそのものの効果というのは、正確に把握することはやはり困難です。今後はCMのスポット出稿のタイミングで検証していきたいと考えていますし、営業現場も店頭での露出を増やしていこうと連動して動いています。

━━「大人エレベーター」の施策について、生活者の意識調査なども行っているのでしょうか。

 定期的に調査を行っており、そのなかでも特に重要視しているのがお客様にインタビューする定性調査です。お客様が実際に「大人エレベーター」をどう見ているのかをヒアリングしたり、または「競合他社の愛飲者で、黒ラベルを飲んでいない方」がこのCMをどう見ているのかを伺ったりなど、適宜ウォッチしています。

余白のコミュニケーションが若者の共感を呼ぶ

 先述の通り、CM視聴後の購入意向は年々上がってきている傾向にあります。CM自体が長期にわたって続いているので、定着してきたという背景もあると考えていますが、特筆すべきは、20〜30代の若年層にその傾向が強いという点があります。

 冒頭に「テレビ媒体で若年層にアプローチすることは難しい」とありましたが、そういったなかでも「大人エレベーター」は若い層に認知されており、好意度や購入意向が高いので、機能しているといえると考えています。

━━それは驚きの結果ですね。どのような点が刺さっているとお考えでしょうか。

 背景をさらに解き明かしたいとは考えていますが、お客様に解釈を委ねるコミュニケーションだからこそ、押し付けにならずに、若年層の共感を得ることに成功しているという傾向はあると思います。

 「丸くなるな、☆星になれ。」というメッセージにしても、ブランドとしてどういう意味があるかを説明していないですし、冒頭でも触れた通りに「大人とは」という問いに対して定義付けもしていません。そもそも「黒ラベルにはこんな特徴があるから、ぜひ購入してください」という理由付けをするようなコミュニケーションでもないんです。こういう余白のあるコミュニケーションだからこそ、若い方からの共感・好印象を呼ぶのかもしれません。

━━最後に、黒ラベルで今後取り組みたいチャレンジがあればお聞かせください。

 「丸くなるな、☆星になれ。」のメッセージは黒ラベルの缶にも印字されています。メッセージの解釈は人ぞれぞれで、それぞれの理想像を受け入れるように表現したいと思い、この文字のサイズも向きも、一文字ずつ異なっているんです。

画像を説明するテキストなくても可

 最近はこのメッセージに対してお客様からお声をいただく機会が増え、「この言葉を大事にしています」「チームの座右の銘にしたいです」という声が寄せられるようになりました。この兆しをさらに拡大し、ビールという枠を超えて黒ラベルが掲げる世界観を共有していきたいと思っています。

 そのためには、たとえビールに関心がない方でも、その方の関心のある場面やオケージョンで接点を作り、良いなと思っていただける機会を一つでも多く創出したいです。たとえばフェスなどに出店したり、季節に合わせたテーマに寄り添って様々な方を応援する企画を実施したりなど、接点を多く作っていくことが今後の目標です。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
探訪!時代をとらえ、成果につなげるテレビ活用術連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/04/15 07:00 https://markezine.jp/article/detail/48813

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング