各代理店の考える、AIと人間の共存の在り方
伊東(Facebook Japan):Metaの広告プロダクトのAIによる最適化が進む中、皆さんはどのように共存していますか? 各社対応の方針や考え方を教えてください。

北原(サイバーエージェント):自動最適化は進むものの、最後は今までの経験、社内に蓄積されている過去の事例を踏まえて判断することが重要だと感じています。数字やデータを人間が咀嚼し、優先順位を付け、効果的に運用していく思考プロセスから価値が創出されるのではないでしょうか。
一方、積極的に社内AIツールの開発も行っており、直近では「やり取りAI」というツールを開発しました。これにより、クリエイティブやLPのチェックがボタン一つで完了できる仕組みが構築できています。
栗田(ナハト):運用面ではかなりの自動化が進んでいる一方で、クリエイティブ面においてはターゲットユーザーとの直接的な対話の機会を増やすなど、あえてアナログ方向に振り切るアプローチを採用しています。当社はショート動画制作やドラマ撮影、クリエイティブ制作などを得意としているため、実際に現場のメンバーが撮影に赴いて素材を収集したり、N1インタビューを実施したりしていますね。
多和田(ピアラ):私もペルソナ設計などの基盤部分については比較的アナログな手法を重視し、リアルな声を集めたり、N1インタビューを実施したりといった地道な活動を行っています。
新井(オプト):そうですよね。私も「対話」は人間が担うべき部分として重視しています。実際にターゲットに近いユーザーと対話することで「そういうことだったのか」という深い気づきを得られることが多いです。その対話をもとにアイデアを出すことで、より改善確度の高いアウトプットを生み出せると感じています。
一方、素材制作やLPのフレームワーク作成などの制作面、また分析の壁打ち相手などでAIを積極的に活用しています。
岩藤(Hakuhodo DY ONE):先ほど説明した「価値共創パッケージ」では、インサイト分析の領域でMeta社のAIを活用しています。SNS上の発信・表現の傾向をまとめる、ユーザー全体のペルソナを分析するなど、人力ではとてもカバーしきれない大量のデータ分析はAIを導入すべき領域です。こうした分析では、AIとうまく連携していくことが必要になると思います。
今後も一部領域ではAIを活用しつつも、自分の言葉と経験に基づいた見解をもとにクライアント様とやり取りしていくことが望ましいと考えています。
伊東(Facebook Japan):「AIに任せることと人間が担うべきことを分ける」「特に対話での深掘りの部分では人間同士のコミュニケーションが大切になる」という基本軸は各社で共通するところがありつつ、それぞれ自社の強みを活かして独自の取り組みを行われているんですね。
冒頭でご紹介した通り、Metaは今年も「Meta Agency First Awards 2025」を実施します。弊社としては、Meta広告を活用いただいている企業様、マーケターの皆様を称えるとともに、当Awardsを通してMeta広告に関する業界内の知識やスキルをさらに高め、より良い価値を提供することができればと考えています。本日は皆さんの貴重なノウハウをご共有いただき、ありがとうございました。