人間は何の役割を担うことになるのか?
MZ:AIエージェントを活用したマーケティングでは、人間はどのような役割を担うことになるのでしょうか?
山崎:人間には大きく3つの役割があると考えています。
1つ目は、全体のオーケストレーションです。「今回のテーマ・目的なら、どの専門家エージェントを呼び出すのが適切か」「複数いるAIエージェントのうち、誰と誰でディスカッションさせるのが効果的か」といった「チームビルディング」は人間の役割と言えるでしょう。

たとえば「専門家」といっても、一般的なマーケティング知識を持ったAIエージェントなら簡単に生成できます。しかし、各企業ならではの戦略や制約を深く理解しているAIエージェントを作ろうとすると、1~2ヵ月は要します。いかに適切で優れたAIエージェントを「生成し」、「召喚」できるかが、人間の腕の見せ所です。
2つ目は、データを活用した「生活者」AIエージェントの生成です。我々が保持している3rdパーティーデータを参照することもできますが、より精度を高めるためには、やはり各企業が持つ1stパーティーデータの活用が有効的です。自社の持つデータをどのように使って、AIエージェントを高付加価値にしていくかを考えるのも、人間の大切な役割です。
3つ目は、エグゼキューションです。AIエージェントのテストマーケティングを経て評価された数十、数百の施策に最終判断を下し、実行するのは人間にしかできません。リスクに鑑みつつも、自分の信念やパッションを持って判断し、ステークホルダーを説得した上で、たくさんの人を巻き込んで施策を実行していくのは、どんなにAIが発展しても、人間が担うべき部分だと考えています。
MZ:マーケティングの精度を高めたい企業にとっては、大きな効果が期待できますね。
山崎:そうですね。リサーチや企画立案はAIで代替できる分、マーケターはオーケストレーションや施策実行に集中することができるようになります。これによって、マーケターの能力は2倍、3倍と最大化されていくでしょう。
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