「データドリブン」から「エージェントドリブン」に
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、AIエージェントとは何か、従来の生成AIとは何が違うのか、基礎的なところから教えてください。
山崎:「生成AI」は、幅広い分野の「作業」や「質問」に対して、自然言語で対応するもの。一方AIエージェントは、単なる「チャット」の応答ではなく、複雑なタスクについて、目的達成のための手段を自律的に考え、そのための様々な作業を人間の指示なしで取捨選択し、実行していくことができる高度なシステムのことを指します。
AIエージェントのさらに先に、異なる目的や役割をもつ複数のエージェントが対話しながら人間を支援する「マルチエージェント」という概念もあります。これらのエージェントは、単にタスクを自動化するのではなく、プロセス全体において必要なアクションを考案し、相互に働きかけながら業務をこなします。AIエージェントは「1人」だけだと誤判断の可能性もありますが、複数のAIエージェントでチームを作り、AI同士で議論することで補完し合うことができる、というメリットがあります。

さらに、24時間365日AI同士で議論し続けてくれるので、思考量が増し、「細かな気づきを得やすい」「新しいアイデアが生まれやすい」といったメリットもあります。アクセンチュアではいち早くマルチエージェントの可能性に着目し、既に海外はもちろん、国内のマーケティング領域でも数十社ほどの支援に活用しています。
MZ:では、ここから先はマルチエージェントの概念まで進んでいるという前提で話を進めていくことになりますが、ずばりAIエージェントの時代、マーケティングはどのように変わるでしょうか?
山崎:いくつか過渡期はあるでしょうが、「データドリブン」から「エージェントドリブン」にマーケティングの世界観が変わっていくと考えます。もう少しかみ砕くと、購入履歴など“過去の”データをもとに顧客の分析をして施策のPDCAを回していくという“過去軸”のマーケティングから、“未来軸”のマーケティングへ変わっていくでしょう。
未来軸のマーケティングは、顧客データから生成したAIエージェントに対してテストマーケティングをし、施策を打った時に得られるであろう結果をシミュレーションした上で、実際に施策を打っていくという流れになります。
MZ:PDCAで見る方向が、過去から未来に変わるわけですね。それは大きな変化です。
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