AIエージェントを活用した、まったく新しいマーケティングの形
MZ:AIエージェント時代の未来軸マーケティングについて、より具体的にイメージを教えていただけますか。
山崎:たとえば、生活者のデータ分析~マインドネットワークの作成~施策アイデアの創出~出てきたアイデアのブラッシュアップ~テストマーケティングまで、マーケティングにおける一連の流れをすべてマルチエージェントの中で完結できるようになります。
MZ:人間の入るタイミングがなさそうですが……順を追って方法を教えてください。
1.データをもとに「生活者AIエージェント」を作成
山崎:はじめに、「生活者の役割を持ったAIエージェント」を作成します。初手として、我々が保持している3rdパーティーデータや自社の1stパーティーデータをAIで分析し、生活者の頭の中をマインドネットワークで再現。各種施策に対して「これはいい」などと、脳波が「スパイク」するようにリアルタイムで変わっていく脳内構造をバーチャル上に作ります。生活者が持つ様々な顕在ニーズ・潜在ニーズが入り混じったこのマインドネットワークをベースに、数多くの「生活者AIエージェント」を作成するのです。
マインドネットワークを活用することで、既存知識の範囲内だけでなく、生活者の顕在・潜在ニーズを見出すことが可能となり、これはいわゆる「ペルソナ作成」とは一線を画しています。
2.専門家の役割を持ったAIエージェントたちが、施策アイデアを議論
山崎:続いて施策アイデアの創出・ブラッシュアップのフェーズでは、生活者AIエージェントから顕在ニーズ、潜在ニーズを抽出した上で、企業目線のAIエージェントが施策案を作成。この施策案をたたき台にして、「専門家」の役割を持った複数のAIエージェントがディスカッションします。
たとえば「マーケティング専門家」「Z世代専門家」「トレンドの専門家」など、10~15人ほどの「専門家」エージェントたちが話し合って、アイデアをブラッシュアップしていくイメージです。数百、数千規模の施策案を短期間で作成、検討できるのはAIならではの強みですね。
3.生活者AIエージェントに対し、テストマーケティングを実施
山崎:そして、専門家AIエージェントたちがブラッシュアップした施策案をもとに、バーチャル上でのテストマーケティングを実施します。対象は最初に登場した、生活者のAIエージェントです。もちろん1人ではなく、1万人、100万人といった規模で仮想の「生活者」を生成し、「この施策は購買意欲がそそられるか」といった、リアルのテストマーケティングさながらの調査をすることができます。一つひとつの施策を生活者目線で評価できるわけです。
MZ:すごいですね。これまでのマーケティングがガラリと変わってしまいそうです。
山崎:生活者起点で潜在ニーズを見つけ出し、専門家同士で議論して考え出された施策案を、実際に生活者へ試してみる。この一連の流れをすべてAIエージェントで行うのが、我々が具現化しようとしている新しいマーケティングの形です。柔軟性や汎用性が高いため、マーケティングだけでなく、新製品開発・サービス開発・イノベーション開発にも活用可能でしょう。
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