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COLUMN

開催迫るNRF APAC 2025、昨年と今年の注目テーマにみる小売の展望

来週開催のNRF APAC 2025、追っておくべき3つのテーマとは?

 2025年6月3日から5日まで、シンガポールのマリーナベイサンズ・コンベンションセンターにて「NRF 2025: Retail's Big Show Asia Pacific」が開催されます。前年比で展示面積を倍増させる15,000平方メートルの会場に、50カ国以上から1万人超の参加者が集結する見込みです。

 テーマは「Retail Unlimited(リテールの可能性を解き放つ)」で、アジア太平洋地域の急成長市場(2030年までに中間層が34.9億人増加予測)を背景に、リテールがどのような進化を見せるか理解できる場となっています。セッションも次世代消費者「Gen-Z」や「サステナビリティ」、「オムニチャネル」などを中心とした11のキーノート、18のブレイクアウトセッションなどが行われ、100名以上のスピーカーが登壇します。

 本稿では、注目すべき3つのテーマをピックアップしました。参加される方はもちろん、事後の記事やセミナーを楽しみにしている方も、事前情報としてぜひご覧ください。

次世代消費者「Gen-Z」

 アジア太平洋地域で2030年までに中間層が34.9億人増加する中、Gen-Z(Z世代)の購買行動解明が最大の焦点です。公式基調講演「Inside the Gen Z Fashion Revolution」では、インドのMyntra CEOアヌラグ・カンナ氏が1万時間超の行動分析から導いた「3C戦略」(Community/Convenience/Creativity)を発表。TikTok Shop連動型のバーチャル試着システムの実装事例を通じ、没入型エンゲージメント設計手法を解説します。

 日本関連セッション「The Hybrid Consumer is here」では、サントリーのデジタルイノベーション責任者とLVMHジャパンが「デジタルネイティブ層との接点革新」をテーマに、リアル店舗とSNSを連動したハイブリッド戦略を議論します。

AIとデータ活用

 AI技術の実践的導入が全セクションで焦点になります。NVIDIAとLenovoの共同セッション「AI-Driven Retail Innovation」では、POSデータと天候情報を連動した需要予測AIが実演され、タイのファミリーマートで廃棄ロス23%削減を実現したアルゴリズムを公開する予定です。BCG主催の「Retail is at a pivotal moment」では、生成AIを活用した従業員向け意思決定支援ツールの事例が紹介されます。

オムニチャネルの革新

 国境を越えた戦略構築がテーマの「APAC Cross-Border Expansion」では、ドン・キホーテが東南アジア進出で実現した「現地仕入れ70%比率」のプロセスを解説。伝統市場とECプラットフォームを統合するハイブリッド在庫管理システムの導入事例が共有されます。

 グーグル主催セッション「Explore the latest trends of the Omnichannel Consumer」では、APAC地域の消費者行動分析に基づく「チャネルレス顧客」戦略を提言。NECの展示ブースでは、シンガポールとジャカルタの店舗データを統合した需要予測モデルが実演され、多国籍展開の効率化手法が学べます。

 NRF APAC 2025は「Retail Unlimited」をテーマに、実践的ソリューションが網羅される見通しです。Gen-Zへのアプローチ、AIとデータ活用、越境オムニチャネル戦略など、成長市場での競争力強化に不可欠なテーマが揃います。講演・展示・ネットワーキングを通じ、現場に持ち帰ってすぐ使える知見を得たい企業にとって、参加意義の高い機会となるでしょう。

NRF APAC 2025参加者・非参加者におすすめしたいアクション

 NRF APAC 2025の3日間で得られる情報量は圧倒的です。そんな中で効果的に学び、つながりを深めるためには、戦略的な参加が鍵となります。また、参加されない方も、情報をいち早くキャッチアップすることが重要だと思います。ここでは、筆者が参加者、非参加者それぞれにおすすめしたいアクションを紹介します。

参加者:ネットワーキングと現地イベントへの参加で、つながりと知識を深める

 NRF APAC 2025には、日本のリテール業界をリードするキーパーソンが多数参加予定です。セッションを聴講するだけでなく、現地で開催されるイベントやネットワーキングパーティーに参加することで、貴重なインサイトを得ることができます。

 初日の夜には電通とRoktが「NRF APAC 2025 Networking Party」を主催します。本ネットワーキングパーティーでは、イオンの菓子豊文氏によるキーノートセッション「イオンのDX戦略とリテールの未来」を聴講でき、リテール業界を代表するキーパーソンと交流できます。さらに、NRF APACをより充実して過ごすための情報収集術やシンガポール滞在を有意義にするための実店舗視察スポットなども紹介します。

 このような催しが期間中に様々な場所で行われるため、事前に情報収集しておくことをおすすめします。

非参加者:レポートや事後セミナーで主体的にキャッチアップ

 NRF APACに参加できない方も、イベント終了後に電通やRoktはもちろん、参加企業によるレポートや寄稿記事をチェックすることで、主要なトピックや業界の注目動向を効率よく把握することが可能です。

 また、事業会社と支援会社それぞれの視点から書かれた情報をチェックすることをおすすめします。異なる視点からNRF APACの内容を理解することができ、現地の空気感や実務に役立つヒントが理解できるでしょう。

 興味・関心のあるテーマが見つかった場合は、レポートや記事の発信元に直接問い合わせて、より深い情報を得ることも良いと思います。加えて、各社が実施する事後セミナーにも注目しておくと良いでしょう。現場での気づきや裏話など、発信された情報の背景にも触れるチャンスになります。

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この記事の著者

Rokt 松田 誠(ロクト マツダ マコト)

Rokt ビジネス開発

 日本マイクロソフトにてOffice 365を始めとした各種ソフトウェア・サービスのビジネスをリード。ケルヒャーにてコンシューマービジネスの責任者を担当した後、2019年にRokt合同会社に入社。ビジネス開発として日本市場におけるRoktビジネスの立ち上げと拡大に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/05/29 08:30 https://markezine.jp/article/detail/49168

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