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第114号(2025年6月 最終号)
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LINEマーケティング活用最前線(AD)

若年層の心をぐっと掴む!企業初の取り組みとなった、アサヒ飲料の「LINEプロモーション絵文字」活用

 LINEヤフーは2025年4月、新たな法人向けサービス「LINEプロモーション絵文字」の提供を開始した。アサヒ飲料では、このLINEプロモーション絵文字を活用した施策によって、若年層を中心とした効果的なブランド訴求を実現。同社に施策の実施背景から具体的な取り組み内容や工夫、その成果まで聞いた。

LINEは、ユーザーが情報を「自分ごと」にできるプラットフォーム

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに自己紹介をお願いします。

角田:以前は経営企画部に所属し、データ分析や業務効率化などを担当していました。2024年からプロモーション戦略部に異動し、現在はアサヒ飲料のLINE公式アカウントやTikTok、メールマガジンの運用を担当しています。

MZ:本日は、アサヒ飲料の数ある顧客接点の中から、企業や店舗が友だち追加してくれたユーザーに直接情報を届けることができるLINE公式アカウントを活用した取り組みについて伺っていきます。まず、御社のマーケティング戦略において、LINE公式アカウントというサービスをどのように捉えていますか。

角田:当社は飲料メーカーとして、お客様の購買意欲を高めていきたいという思いがあります。そのための入口として、アサヒ飲料という企業や商品・ブランドの情報に多く接してもらい、認知につなげていただくことが重要です。そうやって認知度を向上し、その上で適切な情報をお客様にお届けすることで好意度も高めていく。その手法として、LINE公式アカウントは非常に有効だと考えています。

アサヒ飲料株式会社 マーケティング本部 プロモーション戦略部 戦略企画グループ 主任 角田和哉氏
アサヒ飲料株式会社 マーケティング本部 プロモーション戦略部 戦略企画グループ 主任 角田和哉氏

角田:LINE公式アカウントの特徴として、友だち追加してくれたユーザーに対しトークルームというパーソナルなスペースで様々な情報をお届けできる点があります。ブランドに応じた情報を、テキストだけでなく動画や静止画といったコンテンツとして送れるのはもちろん、トークルーム下部に表示されるリッチメニューも自由にカスタマイズして訴求できます。

 何より、トークルームはお客様にとってメッセージが「自分に届いた」と実感いただける場です。当社の情報をお客様に「自分ごと」として受け止めていただき、その後の行動変容に効果的につなげられる点は、LINE公式アカウントならではの大きな優位性と考えます。ライト層も多い他のSNSと比べて、より関心を持って情報に接してもらえるため、LINE公式アカウントは企業とお客様との結びつきを強く持てるプラットフォームといえるでしょう。

LINEプロモーションスタンプとは異なる層へのアプローチに

MZ:LINE公式アカウントの友だち追加を条件に、企業がオリジナルの「LINE絵文字」をユーザーへ無料で配布できる「LINEプロモーション絵文字」が2025年4月から提供開始されました。アサヒ飲料ではいち早くこのLINEプロモーション絵文字を活用した施策を展開されましたが、実施背景について教えてください。

角田:以前から「LINEプロモーションスタンプ」を用いた友だち集めを実施していましたが、新しい手法で友だちを集める必要性を感じていたためです。当社は、お客様との接点拡大に向け、LINE公式アカウントの友だち数の増加を重要視しております。新規の友だちを集めるにはLINEプロモーションスタンプが有効であるため、年に1~2回の頻度で定期的に配布してきましたが、最近では新規友だちの集客に伸び悩みを感じていました。

 そうした中、LINEヤフー社からLINEプロモーション絵文字の活用を「企業初の導入」として提案いただきました。当社は新しい挑戦を尊重する社風があり、LINEプロモーションスタンプではリーチしきれなかった新たな友だちの集客につながると考え、施策に踏み切りました。

MZ:具体的にどのような層へのアプローチを意識したのでしょうか。

角田:将来の重要な顧客になり得る、若年層をターゲットに据えました。商品の魅力を文章で伝えようとするとどうしても堅苦しくなってしまい、特に若年層には受け入れられにくくなりがちです。一方、LINE絵文字は若年層が日常の色々なやり取りで活用しており、文中に入れられるため表現のカスタマイズ性も高いです。直近ではリアクション機能に新たにすべての絵文字が使えるようになるなど、コミュニケーションの新しい形として定着していると感じています。

角田:そこで、LINE絵文字というビジュアルコンテンツにブランドや商品の要素を自然に落とし込むことにより、押し付けがましくない形で自然にお客様のコミュニケーションに寄り添えると考えました。さらに当社オリジナルのLINE絵文字を多く使っていただくことで、ブランドや商品認知の向上、購入意欲の醸成にもつながると想定しました。

ブランド×クリエイターの世界観をLINEプロモーション絵文字で実現!

MZ:今回配布されたLINEプロモーション絵文字の内容について教えてください。

角田:「三ツ矢サイダー」や「ワンダ モーニングショット」など、5つのブランドを表現したLINEプロモーション絵文字を展開しました。クリエイターの「にしむらゆうじ」氏のキャラクター「ごきげんぱんだ」「こねずみ」が、アサヒ飲料の各商品を持っているようなクリエイティブを制作しました。

2パターン・全40種のLINE絵文字を期間限定で配布した(クリックして拡大)

MZ:LINEプロモーション絵文字を作成する際、工夫した点はありますか。

角田:クリエイティブ制作については、各飲料ブランドの世界観やトンマナに合うよう、にしむらゆうじ氏と密にコミュニケーションを取りながら作り上げていきました。にしむらゆうじ氏は若年層からも人気のクリエイターのため、同氏ならではのキャラクターの雰囲気も活かした形で、アサヒ飲料のブランド表現を実現できたと思います。結果的に40種類の絵文字ができましたが、どれもとても良い仕上がりになりました。

 また、LINE絵文字はLINEスタンプと比べてサイズが小さいため、各商品の特徴がしっかり見えるようにキャラクターが持つ商品をある程度大きく見せるといった工夫もしています。

ユーザーの解像度を上げる、アンケートキャンペーンを企画

MZ:LINEプロモーション絵文字を配布する際、どのような訴求を行いましたか。

角田:LINEプロモーション絵文字を配布した後、LINE公式アカウント内でもLINE絵文字のキャラクターを用いた訴求を行うことでコミュニケーションの一貫性を保ちながら、ユーザーの解像度を上げるアンケートを組み込んだキャンペーンも企画しました。アンケートに答えることで回答いただいた方にメリットが生まれる形を意識して、LINEポイントや商品のプレゼントなどインセンティブが発生する設計で実施しています。

 このアンケート施策によって、配信するメッセージ内容のパーソナライズ化を進めました。友だち追加いただいている方にとって興味のない情報ばかり配信してしまうと、ブロック率が高くなってしまいます。そのため、パーソナライズされた適切なメッセージを配信するためのデータが必要だと考えていました。

MZ:顧客解像度を高めるため、どのようなアンケートを実施されましたか。

角田:アンケート項目には「どの商品が好きか」「週に何回飲むか」といった質問を設けました。当社は複数のブランドを持っているので、たとえば三ツ矢サイダーの新商品を発売する際は、炭酸飲料ジャンルに関心がある層へ的確にリーチする必要があります。

 アンケートの回答から「どのブランドに関心があるか」「どのように飲料を買っているか」といったお客様の実態も明らかになりました。その結果をメッセージ配信に用いることで、日々の配信においてお客様ごとに適切なメッセージ配信を継続できていると感じます。今回のLINEプロモーション絵文字を活用した施策は、そうしたデータの蓄積にも一役買っていますね。

LINEプロモーション絵文字で、10代~20代の集客に成功

MZ:LINEプロモーション絵文字施策の成果はどうでしたか。

角田:若年層を取り入れたい目的で実施しましたが、結果として10代から20代の層の友だちをしっかり集客することができました。過去に実施した施策とデータを比較しても、LINEプロモーション絵文字経由で新しく友だち追加した10代~20代の割合は、LINEプロモーションスタンプよりも183%高く、若い世代により多く使われていることがわかりました(アサヒ飲料調べ)。

 興味深かったのは、友だち追加直後のLINE公式アカウントのブロック率がLINEプロモーションスタンプ施策よりも低かったことです。これまで、LINEプロモーションスタンプをダウンロードしたらすぐにLINE公式アカウントをブロックする方が一定数いることが課題としてありました。しかし、今回の施策でLINEプロモーション絵文字をダウンロードした層は、ブロック率が低いという発見がありました。ブロック率が低いことで、若年層と継続的な関係構築がしやすいことも評価しています。

 取り組みを総括すると、定着率の高いユーザー層を集客できたのは大きな成果だと感じます。もちろん、友だち追加してくれた方に対しては、今後もブロックされないよう前述したパーソナライズ配信を継続していく予定です。

MZ:成果につながった要因について、どのように分析していますか。

角田:LINE絵文字クリエイティブのデザイン性の高さとバランスが成功要因にあると思っています。ブランドを強調しすぎるとLINE絵文字のユーザーは“しらけてしまう”ので、そのバランスは意識しました。若年層に受け入れていただきやすく普段使いされやすい、ちょうど良いデザインにできたと感じます。

MZ:ユーザー側の反響はいかがでしたか。

角田:「アサヒ飲料がにしむらゆうじさんとコラボしている」など、Xでの投稿が多く見られました。

 また、LINE絵文字はトークで送信する際、複数の絵文字を組み合わせて使うことが可能です。私たちも、組み合わせて使うことを想定したデザインを作っていましたが、ユーザー自身が「どのような組み合わせがおもしろいか」「可愛く見せるにはどう工夫したらいいか」などの観点でアイデアを自発的に発信してくれたのです。このようなUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)が増えることで、より盛り上がっていただけましたね。

不動の立ち位置を確立したLINE公式アカウントで、継続的なコミュニケーションを

MZ:最後に、今後の展望について教えてください。

角田:直近は、デジタルメディアが急速に増えてきており、顧客コミュニケーションの方法が目まぐるしく変わってきています。そうした中でも、LINE公式アカウントは不動の立ち位置を確立していると感じます。パーソナライズ化されたトークルームで、お客様が自分ごと化した情報を受け取れる。この特徴を活かし、今後もLINE公式アカウントを活用して新しい施策に積極的に取り組んでいきたいです。

 また、アンケートなどお客様の解像度を上げる施策も引き続き進めていきます。限られた予算の中で広告配信や企画を実施していくわけですから、闇雲に施策を打つのではなく、費用対効果を常に意識しながら運用することが重要です。そのためにも「誰に、どんな情報を、どのタイミングで届けるのか」を考え抜き、効果的なマーケティング施策を実行していきたいと考えています。

 特に若年層へのアプローチは、当社にとって今後のカギになると思います。将来の顧客基盤を作る意味でも、継続的にアプローチを行ってまいります。

LINEプロモーション絵文字の詳細を知りたい方へ

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この記事の著者

太田 祐一(オオタ ユウイチ)

 日本大学芸術学部放送学科を中退後、脚本家を目指すも挫折。その後、住宅関係、金属関係の業界紙での新聞記者を経て、コロナ禍の2020年にフリーライターとして独立。現在は、IT関係を中心に様々な媒体で取材・記事執筆活動を行っています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:LINEヤフー株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/23 10:00 https://markezine.jp/article/detail/49318