TikTokで“好き”を育てるIP戦略「きっと青春の1ページ」
MZ:こうした課題に対し、OASIZではどのような提案を行ったのでしょうか?
江藤:村岡さんのおっしゃる通り、Z世代は一方的な広告を嫌う傾向があります。そこで、まずはKDDIの「三太郎」やソフトバンクの「白戸家」のCMシリーズのような、企業を象徴するIPを作ることを提案しました。それが、TikTokアカウント「きっと青春の1ページ」です。

「きっと青春の1ページ」では、「部活」や「受験」など、高校生のリアルな悩みや日常を発信しています。こうしたコンテンツをきっかけに、まずは「きっと青春の1ページ」というIPを好きになってもらい、その延長線上にキットカットというブランドがあるという仕掛けを作ったのです。
@kitkat_juken_ みんなは今年の目標決まってる? #pr #キットカット #kitkat #受験 #受験応援 #受験生 #学校#ショートドラマ #短編ドラマ ==これより戦うすべての者たちへ 第2話== [出演] 水瀬紗彩耶(@saaya_minase_ ) 小笠原健(@ogasawaraken) 橘 芳奈 涼乃ひびき(@hi_bk00 ♬ 絶対零度 - なとり
江藤:展開しているコンテンツは大きく分けて、ショートドラマとTikTokのトレンドコンテンツの2軸です。現在、総再生回数は1億回を記録し、Z世代の約2人に1人が視聴したことがある(※)ほどのコンテンツに成長しています。
また、ドラマのテーマにはZ世代が実際に抱える悩みや日常の出来事を取り入れているため、ユーザー同士の共感ややり取りが活発に生まれています。平均で300~500件、多い時には2,500件ものコメントが寄せられ、コメント欄がまるでコミュニティのような役割を果たしています。
(※)TikTok Studioにおける新規視聴者(ユニークユーザー)ベースの数値をもとに推定換算
“公開を待ち望まれる”企業アカウントへ
村岡:動画のコメントはすべてチェックしているのですが、投稿直後に「1コメ」というコメントがつくことが多いんです。これは、ユーザーが習慣的に動画をチェックしてくれている証拠であり、新作を心待ちにしているという表れでもあります。企業アカウントでZ世代からこれほど熱量の高い反応を得られるコミュニティは、他に見たことがありません。
江藤:「きっと青春の1ページ」では、現役高校生とのコラボ動画も制作しています。ある撮影現場で、キットカットという商品名を出す前に、この企画の認知度を尋ねてみたんです。すると、参加した部員30名のうち、なんと15名が手を挙げてくれました。
「きっと青春の1ページ」の総再生回数は1億回を記録し、データからはZ世代の2人に1人が視聴したことがあると推定されていました。まさにそのデータ通りの結果が目の前で示され、私自身も非常に嬉しかったですね。