若年層へのアプローチに手応え。球団の垣根を越えた“予想外の反響”も
MZ:ドラマは現在8話まで公開されていますが(※2025年8月時点)、現時点でどのような成果を実感されていますか。
林:定量面では、KPIとして設定した再生回数やフォロワー数は狙い通りに増加しています。特に、10代・20代の視聴割合が公式チャンネルの他の動画よりも高く、狙いとしていた若年層へ着実に届いている実感があります。また、神奈川県外での視聴が多いというデータも出ており、これは「やってみなければわからなかった」発見で、挑戦して良かった点の一つです。

MZ:定性的な面、たとえば周囲からの反響はいかがですか。
林:私たちが目指す「常に新しいことに挑戦する球団」という姿勢が、広く伝わっていると感じます。メディアでの露出はもちろん、各所で「またおもしろいことをやっているね」と声をかけていただく機会が増え、ブランディングの面でも確かな手応えがあります。
MZ:ファンや、野球界からの反応はいかがでしょう。
林:SNSでは試合結果を受けて、「ドラマはどうなるんだろう?」といった投稿が見られ、ファンの方々が試合と物語を重ねて楽しんでくださっている様子がうかがえます。勝敗だけでなく、新たな楽しみ方が生まれていると感じます。
また、他のスポーツチームから「あのドラマはどうやって作っているのか」といった問い合わせをいただくことも増えました。我々の取り組みが成功すれば、スポーツ界のマーケティング施策として一つの定番になるかもしれません。その先駆けとして、身が引き締まる思いです。
MZ:他球団との交流も生まれているようですね。
林:はい。セ・パ交流戦の際には、対戦相手のオリックス・バファローズさんが公式SNSで死神のイラストを使ってくれるなど、良い意味で“いじって”くれました。こうした球団間の垣根を越えたコミュニケーションが生まれたことも、嬉しい成果です。
単発で終わらせない。ドラマを起点としたプラットフォーム構想
MZ:これまでの成果を踏まえ、今後の展望を教えてください。
林:まずは、このドラマをシーズン最後までしっかり「完走」させることが最大の目標です。シーズンの結果がどうであれ、視聴者の方々に「見て良かった」と思っていただけるような結末を届けたいと考えています。
その上で、このショートドラマを単発の企画で終わらせず、たとえば再編集して劇場版を制作したり、スピンオフ作品を展開したりといった、二次的な活用も視野に入れています。具体的なことはまだ未定ですが、そうなればまた新しい楽しみ方を提供できるでしょう。
MZ:コンテンツとして、さらに広がりが期待できそうですね。
林:はい。また別の構想として、このドラマ自体を単なるコンテンツではなく、新たな「プラットフォーム」にできないかというアイデアもあります。たとえばスポンサー企業の商品やサービスを紹介するインフォマーシャルのような要素を組み込むなど、マーケティングツールとしての活用も検討しています。
ショートドラマ市場は非常に活気があるため、その可能性を最大限に活用しない手はありません。「今年、おもしろいコンテンツを作りました」で終わらせるのはもったいない。今後の動向を見極めながら、さらに展開を広げていきたいですね。
