リアルイベント起点で顧客体験拡張と関係の再構築
CONNEXIONsとは、「コロナ後の原宿に人を呼び戻す」ことを目指したリアルタイムイベントで、ロゲイニングやワークショップの体験を通して人の繋がりを作る体験型プログラムだ。
梅田氏によると、原宿はゴールドウインが初めて直営店を出店した地でもあり、現在も原宿で7店舗運営していることもあって、同社にとって「特別な地」なのだと言う。企画がスタートした2022年は、まだコロナ禍の影響を色濃く受けており、原宿も閑散としている状態だった。
「何とかして原宿にもう一回お客様を呼び戻すイベントを開催し、お客様とまたつながっていくきっかけを作りたいと考えました」(梅田氏)

イベントの打診を受けた金井氏は、これまで支援したことがない領域という懸念もあって一度は辞退したものの、ゴールドウイン側の「顧客データを活用できるプレイドだからこそお願いしたい」という熱心な思いを受けて協力を決意。企画にあたって協力したのがプレイドの企画チーム。KARTEを用いて生活者起点の体験を設計・実装し、このイベントでもデータによってイベント前後まで顧客体験を拡張するというユニークな試みを実現した。
実施した内容は2つある。1つが宝探しとランニングを組み合わせた「原宿ロゲイニング」で、写真を撮影しながら時間内にチェックポイントをまわって獲得するポイント数を競うという競技。もう1つが、藍染師を招いて参加者の持ち物を藍染するという「藍染ワークショップ」だ。この体験を通じて新たな顧客との接点を作り、さらにそのデータを活かしてデジタルマーケティングにつなげることを期待した。「プレイドさんの協力があったからこそ、新たな接点からデータ活用へとフェーズを進めていくことができました」と梅田氏は評価する。

OMO戦略を成功させるために必要なこと
以上の3点が、ゴールドウインがプレイドの支援の下で進めてきたOMO施策だ。ゴールドウインはもちろん今後も新しい取り組みを進めていくが、プレイドの金井氏が発した「この3つを振り返り、OMO施策を成功させるポイントとしてどのようなことが考えられるか?」という問いに対し、次のように答える。
「OMOと言うと、店舗とECという2項がテーマになると思います。まずこの軸で言えば、特に店舗側のキーマンに深く関与していただくことが1つ大事なポイントです。さらに言えば、人事や在庫部門、システム部門など、OMOに関わる部署におけるキーマンを見つけてこうした取り組みに巻き込んでいく活動が大切です」(梅田氏)
とはいえ、巻き込まれる側からすると、ふとした瞬間に「そもそもなぜこの取り組みをやるのか」と立ち止まってしまうことも多い。実際にCONNEXIONsの現場でも、「なぜこれを実施するのか」という疑問が出たと言う。
その場を収めたのが、プレイドの企画チームのプランナーだった。金井氏は「チームメンバーの1人が、買い物だけならオンラインで済む時代に、今届けたいこと、私たちにしかできないこととして『体験から生まれる人のつながり』の大切さを訴えるスライドを作りました。それを共有した時にメンバー全体に共感が生まれたのです」と話す。

この共感がプロジェクト推進の原動力になった。梅田氏も「当社だけでは実現できなかったと思います」と答え、パートナーの重要性を訴えた。