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MarkeZine Day 2025 Autumn

マーケティング最新事例 2025

なぜ「メディキュット」がシニア市場へ? 着圧ソックスNo.1ブランドが仕掛ける「全世代攻略」の裏側

女性の認知率はほぼ100%、一方で課題も

MarkeZine:2025年、メディキュットは「メディキュットfor ALL」というコンセプトを掲げ、ブランドポートフォリオの拡大を発表されました。元々「若い女性のためのブランド」だったメディキュットが、「すべての脚悩みを抱える人のためのブランド」へとビジョンを拡張した背景には、どのような課題や狙いがあったのでしょうか?

鈴木:背景には、大きく2つの環境変化があります。1つは社会の高齢化と可処分所得の減少傾向。もう1つは、ECを主戦場とする新規ブランドの増加です。

 メディキュットの従来のターゲットは、若年層の女性でした。しかし、このような環境の変化があるなかで、「若い女性」の「脚を美しく見せたい」というニーズだけに訴求するのは限界があるのではないか、と考え始めました。

岡部:実は、若い女性のメディキュットの使用経験率は既に7~8割に達しているんです。認知度に関していえば、若年層女性のほとんどがメディキュットを知っており、非常に高い認知率を獲得できています。

 そこで、これからのブランドの成長を考えて、性別や年齢を問わずあらゆる人に向けて製品を展開する「メディキュットfor ALL」のコンセプトを立ち上げました。

レキットベンキーザー・ジャパン株式会社 マーケティング本部 アシスタントブランドマネージャー 岡部 未来氏
レキットベンキーザー・ジャパン株式会社 マーケティング本部 アシスタントブランドマネージャー 岡部 未来氏
メディキュットのアシスタントブランドマネージャーとして、主にレディース関連の商品を担当。

鈴木:これはある意味、私たちのブランドパーパス「内側から美しく、健やかな体へ」に立ち戻った形となります。

 健康であることを目指すなら、着圧ソックスができることは「脚がすっきりさせる」、弾性ストッキング(一般医療機器)なら「むくみ改善」だけではないはず。実際に、ユーザーの口コミやインタビューでは、そういった目的以外の使用事例も多く見られました。

 男性やシニアの方には、女性と異なる脚の悩みがあります。メディキュットには、そういった方々のニーズにも応えられるポテンシャルがある。「メディキュットfor ALL」戦略を通して、すべての人のために製品を提供できると考えています。

若年女性の「再獲得」と、男性・シニアの「新規開拓」。ターゲット別の攻略法

MarkeZine:「メディキュットfor ALL」戦略では、具体的にどのようなターゲット拡大を目指していますか?

岡部:「for ALL」戦略は、大きく分けて2つの軸でアプローチを進めています。1つは「既存ユーザーである若年層女性の再獲得」、もう1つは「新規層である男性・シニア層の開拓」です。

 まず、既存ユーザーの再獲得についてお話しします。調査では、若い女性のほとんどがメディキュットを「一度は使用したことがある」という結果が出ています。だからこそ、一度離れてしまった方に、いかにして「また使いたい」と思っていただくかが重要になります。

 昨今は新しい着圧ソックスブランドが多く登場している中で、メディキュットをもう一度選んでもらう。そのために「自分の脚の悩みに合うメディキュットがある」ことを知ってもらうことが大事だと考えています。

 既に豊富な商品ラインナップで多様なニーズをカバーできているため、個々の商品のメリットがより伝わるよう、コミュニケーションの工夫に注力しています。たとえば「商品が多くて、何を選んだらいいかわからない」という声が聞かれるので、LINEで自分の悩みを選ぶと、おすすめの商品がレコメンドされるナビゲーションサービスを始めました。

 また、若年層女性の「美脚」のニーズは引き続き高いので、美容をテーマにしたクリエイティブを若年層がよく使用しているデジタル媒体を中心に展開しています。たとえば、TikTokでそれぞれの女性の悩みに寄り添う広告を展開しています。

 また、最近の消費者の志向として、身近で自分事に感じられることが購買意欲につながる傾向にあります。そこで「推し活のための自分磨き」や「ナイトルーティン」といった、若い女性たちにとって身近なストーリーの動画を作って訴求しています。

@mediqtto 推しが爆イケ過ぎる日の夜も #メディキュット 履いて寝よ #MediQttO ♬ オリジナル楽曲 - メディキュット【公式】

男性の“自分ごと化”をどう促すか? 固定観念を打ち破るアプローチ

鈴木:新たな層へのアプローチは、メンズとシニア、この2つの層へのアプローチです。

 従来のターゲット層である若い女性とは異なり、どちらも足の健康への意識は低く、メディキュット自体を知らない状態です。まずは「あなたの悩みを解決できる」ということを伝えて、脚ケアの優先順位を挙げてもらうことが最優先課題です。

 特に、男性の方で既にメディキュットを知っている場合「足を細くしたい女性のための商品」というイメージを持っています。認知度が高いがゆえに「自分ごとではない」という先入観につながっているのです。そこで、「あなたのための商品ですよ」というコミュニケーションをとることが大事です。「日々のコンディションを整える存在」として想起してもらえるように、デジタル広告などのマーケティングに注力してきました。

画像を説明するテキストなくても可

鈴木:その結果、2023年2月に発売したメンズ商品は、継続的に売上が伸びています。メディキュットブランドの売上全体の10%弱が、メンズ向けの商品になっています。

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シニア層への訴求はどうする? 商品設計&販促戦略のポイント

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/09/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49734

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