最終的な成果物は?
デモでは、約12分の処理時間で以下のアウトプットが得られた。
- ターゲットのIDリスト
- 各セグメントの属性説明
- 有効なアプローチ方法の提案
- パーソナライズされたメルマガの文面
藤原氏は「将来的にはもっと洗練されたUIのサービスが出てくるかもしれませんが、それを待つよりも自分たちで試すならこういった形が良い。実はUIがシステムっぽくないとAIエージェントに見えないだけで、今すぐ自分でできるのです」と、すぐ実践できることの価値を強調した。
AI活用を進めるためには「とにかく触れる」
最後に、AIエージェントを組織で活用するために必要なポイントについて議論された。
藤原氏は「AIに触れている時間が増えると、経験値が自然にたまっていく」と指摘し、自身が支援した企業の事例を紹介した。
「生成AIを、全社的に利用できるようになりたいという依頼でした。そこで、毎週“AIしか使わない”プレゼンを作り、毎週1人3分程度のピッチと、そのプレゼンを作ったプロセスを共有してもらうようにしました。どうやって学習したのか尋ねると、あるメンバーは『YouTubeを見ました』と。すると、自然と隣のメンバーも真似して取り入れていきます。これを3ヵ月ほど続けたところ、皆AIを使いこなせるようになっていました」(藤原氏)
現時点では、どういうプロンプトを書くかは人間のスキルが問われるところだ。AIの活用は、ベンダーにシステムを作ってもらうだけでは進まない。藤原氏は、AIに触れる習慣や文化を作ることの重要性を強調した。
簗島氏もこれに同意し、「コスト削減だけを目的として導入すると、『今のやり方でもできているから、AIは必要ないのでは』という結論になってしまい、活用が進まないことがある。先ほどの例のように、制約をつけてAIを使うなど、没入できる時間を確保することが重要」と指摘した。
今、AIエージェントを活用して優位性を築くのであれば、行動量が大きなポイントになる。いきなりベンダーにAIエージェントの作成を依頼する前に、自分たちがAIに触れるプロセスが必要だ。
簗島氏は「AIエージェントは使ってみるとわかることがたくさんあるので、まずは触れてもらえたらうれしい」と語って、セッションを締めくくった。
