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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2025 Autumn(AD)

一度は挫折、再始動でCVR改善。「ジャンカラ」のデータ戦略を支えた意識醸成とインキュデータの伴走支援

データ基盤・公式アプリ・配信アプリを三位一体で強化

 では、実際のプロジェクトの概要をみていこう。

 同社では、顧客体験と従業員体験の最大化を目的として、「データ基盤」「公式アプリ」「カラオケ配信アプリ」の3つの領域でプロジェクトを推進している。

画像を説明するテキストなくても可

1、データ基盤構築

 カラオケ事業では、会員データに加えて店舗購買情報を管理するPOSシステム、HPやアプリのアクセスログ、広告データ、MA反応データ、サードパーティデータ、歌唱データ、配信アプリのコメントや画像データまで多様なデータが存在する。

 渡邉氏は「Snowflakeを活用し、これらのサイロ化されているデータを統合し、ダッシュボードやMAなどで活用するデータ基盤を構築しています。これにより、従来よりも作業時間を削減でき、業務の効率化が実現できると考えます」と説明する。

2、公式アプリの高度化

 公式アプリ「ジャンカラ」の体験価値向上に取り組んでいる。UI改善のためにGoogleアナリティクスの計測を再設計し、ユーザ行動の分析にも注力する。さらに、MAの導入とCRMの高度化により、「従来は実現できなかった施策も実行できるようになる」と渡邉氏は述べた。加えて、MAツールを使いこなせる人材も社内で育成していく方針だ。Snowflakeとの親和性の高さから、MAツールには「Braze」を採用した。渡邉氏は、新たに収集したデータや過去のデータを深く分析することで、「新しいロイヤリティプログラムに生まれ変わらせたい」と力を込めた。

3、カラオケ配信アプリ

 同社が提供するカラオケ配信アプリ「UTAO」は、自宅でカラオケを楽しめるほか、歌唱動画の投稿やライブ配信ができる。今回のプロジェクトでは「UTAO」のデータ活用環境の整備も進めている。元々MIXIが運営していたカラオケ動画/ライブ配信コミュニティアプリ「KARASTA」の事業譲渡によって誕生した「UTAO」だが、データ活用を通して今後のビジネス上における方向性を決定していくという。

 「分析に関しては、統計モデルを用いたKGIとKPIの影響を可視化していきます。また、歌唱データや動画データといった非構造化データを分析し、ライバーの新評価ロジックの構築なども考えています」(渡邉氏)

 並行してオンライン広告も最適化させる。具体的には、課金者に対し重点的な広告配信を実現するほか、従来活用していなかった媒体を活用し認知度も高めていく考えだ。

部門横断の意識醸成と“伴走型スキルトランスファー”で内製力を底上げ

 今回のプロジェクトでは、3年前に頓挫した経験を踏まえ、「意識醸成にかなりの時間を使った」と渡邉氏は振り返る。

 「以前のプロジェクトでは、各部門で活用に向けた意識醸成がうまくできていませんでした。そこで今回は、デジタル戦略部門、営業企画(マーケティング)、システム部門、営業部門まで複数部門の担当者にデータを活用した目的とゴールについて、繰り返し説明しました。スタート前にメンバーの認識を揃えられたことで、プロジェクト推進の基盤になりました」(渡邉氏)

 さらに、「データ領域に知見を持ったメンバーが社内で不足していた」という課題もあったという。そこで、渡邉氏は「パートナー企業の選定には特に気を遣った」と話す。

 「リテラシーが不足している従業員もプロジェクトを通して成長できるように『スキルトランスファー(技術移転)』を丁寧に進めてくれるようなパートナーを探していました。インキュデータは単なる開発委託先ではなく、メンバーの育成と成長を含めた伴走支援をしてくれたので非常に満足しています」(渡邉氏)

 この「伴走支援」の進め方について、及木氏は具体的なプロセスを明かす。「プロジェクトの開始当初は、ツールの操作や施策の設計など9割方を我々が担当し、TOAIの皆様にはまず見て習熟してもらうことから始めました。そこから徐々に比率を変え、最終的にご自身たちで推進できる状態を目指しました」(及木氏)

 及木氏は、このプロセスで重要なのは、常に「ビジネスの目的」を問い続けることだったと続ける。「議論を重ねる中で、『当初想定していたツールよりも、こちらの方がビジネスの成功に貢献できる』といった判断に至ることもありました。ツールを導入することが目的になるのではなく、あくまでビジネスの成功に貢献することこそが、我々の本質的な価値提供だと考えています」(及木氏)

インキュデータ株式会社 ソリューション本部 副本部長 及木 翔平氏
インキュデータ株式会社 ソリューション本部 副本部長 及木 翔平氏

 TOAIがスキルトランスファーに注力しているのは、「インハウスへの強いこだわりがあるため」と渡邉氏は明かす。

 「『骨抜きのような会社になりたくない』という経営層の方針と、社内にリソースを抱えることによってスピード経営を実現していきたいという思いがあります。ただ、全てを内製化するのではなく、フェーズごと、機能ごとに外部パートナーさんにサポートいただく部分と社内でやる部分とで、メリハリをつけるということは意識しております」(渡邉氏)

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UI/UX改善でCVR上昇、“お気に入り店舗”が鍵

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この記事の著者

太田 祐一(オオタ ユウイチ)

 日本大学芸術学部放送学科を中退後、脚本家を目指すも挫折。その後、住宅関係、金属関係の業界紙での新聞記者を経て、コロナ禍の2020年にフリーライターとして独立。現在は、IT関係を中心に様々な媒体で取材・記事執筆活動を行っています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:インキュデータ株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/11/20 10:00 https://markezine.jp/article/detail/49905

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