スピーディーな意思決定を実現する、CORINのプロジェクト推進力
――今回のTENCO導入で、ヤマト インターナショナルが実現したいことは具体的に何ですか?
長尾:具体的な希望は4つあります。1つ目は、スムーズな新規会員登録フローにして顧客獲得率を向上すること。2つ目は、かご落ち時の自動プッシュでコンバージョンを向上すること。3つ目は、ECとアプリで会員情報(セグメント)を共通化した配信でF2転換率を向上すること。4つ目が、アプリネイティブ画面でパーソナライズされた商品情報を表示しOMOを促進することです。
――4つの希望を叶えるために、なぜCORINをパートナーに選ばれたのでしょう?
長尾:パートナー選びで重要視したのは、弊社の目的や課題などへのご理解と、弊社スタッフやECエンジニアとの連携です。CORINの代表である中村さんは経営者かつエンジニアです。事業特性や導入目的をしっかりとグリップし、知見をもとに我々の意思決定において最適な提案をしてくれました。同社の確かな技術力と伴走時の細やかな配慮も魅力でしたね。
初回のキックオフから要件定義は約2ヶ月で行いました。タイトなスケジュールの中、CORINのスタッフの方々によるアジェンダ設定から細かな議事内容、抜け漏れのない確認事項の共有をNotionやFigmaなどのツールを使い、弊社に寄り添いながら一つひとつ丁寧かつスピーディーにご対応いただきました。総じてレスが速く、リズム感のあるプロジェクト進行は圧巻でしたね。
中村:ありがとうございます。ヤマト インターナショナル様のように組織規模が大きく、関係部署とのコンセンサス形成が必要なプロジェクトでは、要件定義の前段階でお客様の課題を明確にしておくことで、“考える余白”をつくれるかどうかが特に重要だと考えています。CORINでは、お客様の背景や課題を初期段階から丁寧に整理し、社内でもPMやデザイナーが事前にしっかりと下準備を重ねています。そのうえで、要件定義の期間中にお客様が社内でじっくりと意思決定できるよう、エンジニアも交えて調整しながら、円滑な進行設計を心がけています。今回も、弊社メンバーが「なにを用意すれば社内説明がしやすくなるか」「どこまで先回りできるか」を考えながら動いてくれました。お客様の社内事情に寄り添いながら、プロジェクト全体を“整えて進める”そんな姿勢が、CORINらしさとして伝わっていたなら、私たちとしてもとても嬉しく思います。
長尾:意思決定がスムーズに行えたことはとても安心感がありました。また、途中で新たな課題に直面しても「実現するためにどうするか」と前向きに考えるCORINの取り組み姿勢や、その場で解決策を提案してくれる姿勢にも信頼感がありました。
SaaSの枠を超えるアプリ開発戦略
――TENCOを用いたアプリ開発については、いかがでしょうか?
長尾:確かにベースはSaaSパッケージですが、要望に柔軟にご対応いただき、かなりカスタムしていただけました。私が気に入ったTENCOの特長は4つです。
まずはデザインの自由度が高いこと。テンプレートに依存せず、UI/UXを含めたデザインを独自に設計できます。次に機能の多さと独自性です。OMOを実現できる10種類以上の豊富なマーケティング機能があるうえ、ビジネスモデルに合わせた特定の機能を柔軟に開発・実装・連携可能です。
SaaSパッケージの機能強化として対応していただくようなこともありましたし、汎用的な機能になるよう「こんな改修方法でどうか」など提案もしていただきました。
また、企画・設計から開発、保守まで一貫して行い、シームレスな対応でスムーズに進められる開発体制も頼もしいですね。最後は費用面です。月額SaaS費用も複数パターンがあり、月額費用の発生は稼動月から。プッシュ通知による課金も発生しないため予算計画が立てやすい点もありがたいですね。それに、TENCOの管理画面ではアプリとLINEの両方を一元管理できる。これも非常に大きなメリットでした。
――CORIN様視点で、TENCOの能力を発揮できたと感じられたポイントはありますか?
中村:要件定義に入る前に、PMチームとデザインチームでクロコダイルブランドの世界観や主要顧客層との関係性、現状の使いづらさを分析し理解することからスタートしました。結果、アプリとLINE、ECシステムとの連携など、既存の資産を無駄なく活かしながらお客様にとって“使いやすい”を軸にご提案できたのは、CORINとしての強みが発揮できた部分だと思っています。
TENCOは「完全ヘッドレス構成」によって、ブランドの世界観を損なうことなく、CXを最適化できる設計思想を持っています。今回も、クロコダイルの直近のリブランディングの趣旨を深く理解したうえで、シニア層向けでありながらも野暮ったくならない、スタイリッシュなUIを追求しました。ブランドの方向性や意図は、弊社のPMやデザイナーにも事前共有し、デザインと設計全体に反映。情報を詰め込みすぎず、あえて説明をしすぎないテキスト設計と、直感的にわかりやすいUIに落とし込むことで、ブランドらしさとユーザビリティの両立を図りました。
さらに、アプリ、ECサイト、外部ツールへのログイン動線も整え、シングルサインオンでシニアの方もスムーズにECで購入できる工夫をしました。加えて、店舗でのオペレーションがスムーズに行えるよう、ゲスト会員の導線も新たに追加しました。
CXデザインにおいても、ヤマト インターナショナル様からのご要望を受けて、シニア層へのわかりやすさを意識し、季節感を表現するイラストをUIに取り入れる設計に挑戦しています。コンテンツやモチーフキャラクター以外の要素でイラストを使って世界観を表現するのは、弊社としても初めてでした。「イラストが邪魔にならず、むしろ心地よく作用するにはどうすればいいか」をチームで話し合い、試行錯誤を重ねました。
今回はTENCOで、アプリとLINEミニアプリを構築させていただきました。 UIは両チャネルでほぼ共通の設計にしており、裏側では一元的に管理・連携できるように構成しています。それぞれのチャネルに合わせた導線設計を行いながらも、ブランドらしさと親しみやすさの両立ができたのではないかと感じています。

