企業の成長を支えるプラットフォームへ
生活を支える多様なサービスを展開するLINEヤフー。そのユーザー数は延べ1億人を超える。また、企業や店舗などの法人向けにソリューションを提供することで、ビジネスの成長を支援。「Connect One」というコンセプトを掲げ、CRMやEC、販促、データ分析、広告などの領域でサービスを展開している。
江田氏は「様々なサービスによるエンドユーザーとの接点が、データをインプットする場にもなります。ストックしたデータを活用しながら、企業と消費者のコミュニケーションの最適化を図ろうとしています」と戦略を説明する。
それを実現するために掲げている2025年度の注力領域は「PayPay」「AI」「LINEミニアプリ」の3つ。その中で、江田氏は今回、AIとLINEミニアプリの施策について解説した。
AIの取り組みでは、生成AIを活用した18のサービス・機能を2025年4~8月にリリース。その一つ、「LINE AIトークサジェスト」は、AIによってLINEの会話の文脈を読み取り、返信内容を提案する機能だ。トーク画面のメッセージ入力スペースに表示されている「AI」ボタンで利用できる。

「たとえば、『ランチを予約しました』という相手からのメッセージに対して、『ありがとう。楽しみにしているよ』という返信を提案してくれました。コミュニケーションの円滑化に役立つ機能です」(江田氏)
AIが対話で“最適な商品”を提案 バディカの最新事例
AI活用はエンドユーザー向けの機能だけにとどまらない。ビジネス用のLINE公式アカウントにAIを搭載する事例も生まれている。
中古車のECサイトを運営するBUDDICA・DIRECT(バディカダイレクト)のLINE公式アカウントでは、「ChatGPT」を活用している。ユーザーによる「こんなクルマが欲しい」というメッセージに対して、AIを活用して詳しい情報を提示。24時間対応で中古車選びをサポートする。

「クルマに詳しくないと、自分で細かい条件を提示することは難しいです。AIのアシストによって、ベテランの営業マンと話しているかのように最適な商品を提案してもらえます」と江田氏は説明。同社では、AI導入後、1年で会話数が延べ20万件を超えた。AI経由のリード数は全体の10%超、月間成約数20台以上という実績も出ている。
商品の提案だけでなく、自動車の周辺領域の相談にも対応しているため、顧客体験の向上につながっている。また、ユーザーとの会話データは貴重なマーケティングデータとなり、様々な施策に活用できる。
この事例のような活用方法については、企業の関心が高く、問い合わせも増えているという。江田氏は「企業にとって、LINE公式アカウントはただコストをかけて使うツールではなく、収益を生み出すものになるのではないか、と考えています」と話す。
一方で、ChatGPTなどのAIとLINEを組み合わせるだけでは「ブランドの差別化にはならない」と指摘する。企業・ブランドのコンセプトや独自のデータベースなど、他社にはない“独自資産”を掛け合わせることが、成長のためには欠かせない。
「LINEミニアプリ」をもっと知りたい方へ!
・有名企業が多数登壇!導入までの課題や成果などをセミナーでご紹介
→【視聴無料】LINEミニアプリ セミナー一覧
・これから導入を検討される方向けに、サービスの特徴や導入企業の声などをまとめた資料
→導入方法やメリットがわかる!LINEミニアプリスタートガイド
「アプリをダウンロードしてもらう」ハードルをなくす
江田氏は次に、LINE上で企業アプリを展開できる「LINEミニアプリ」について解説。まず、企業の課題として「リアル空間でいかにユーザーの行動を促すか」が重要だと指摘した。
「たとえば、『店舗で商品を購入する』『キャンペーンに応募する』『会員証を提示する』など、適切なタイミングでユーザーに行動してもらうことが重要ですが、なかなか難しいのが現状」と江田氏は指摘する。行動を促すためには、リッチな体験やお得なサービスの提供が重要で、そのために自社アプリを提供する企業も多い。
しかし、自社アプリの最大のハードルは「ダウンロードしてもらうこと」。店頭でアプリのダウンロードを呼び掛けても、なかなか実行してもらえない。調査によると、店舗でアプリのダウンロードを断った経験がある人は約7割に上るという。アプリのダウンロードを促されることをストレスに感じる人も多い。
その課題を解決できるのが、LINEミニアプリだ。LINEミニアプリでは、LINEアプリ上で企業のWebアプリケーションを動かすため、LINEのアプリさえ入っていれば、新たにアプリをダウンロードする必要はない。既に様々な業界で導入が進んでおり、会員証提示や順番待ち予約などのサービスで活用されている。

江田氏は「LINEミニアプリと自社アプリを併用するのが最近のトレンド」と説明する。自社アプリは、ダウンロードにハードルがあるものの、使ってもらえれば様々なサービスや体験を提供できる。一方、LINEミニアプリは、店頭ですぐにサービスを提供できることに加え、その体験によって自社アプリのダウンロードを促すことが可能だ。「もっと使ってみたい」というポジティブな気持ちで自社アプリに移行してもらいやすい。
「ライトユーザー向けにLINEミニアプリを提供し、ヘビーユーザーを自社アプリに誘導する方法もあれば、ユーザーがどちらを使うか選べるように併存させる企業もあります。ユーザーの体験をどう広げるか、各社で考えながら運用してもらっています」(江田氏)
販促キャンペーンと相性が良い ハウス食品・カゴメ事例
特に食品・飲料メーカーは、ポイント付与によるランク制度やクーポン配布など、様々な形でLINEミニアプリを活用している。
たとえば、ハウス食品グループ本社は、クイズによるゲーミフィケーションを導入。同社のブランドや商品に関する、あまり知られていない情報や取り組みについてクイズで出題。ブランドとしての姿勢を示したり、ファンを獲得したりすることに活用している。
また、カゴメはLINEミニアプリ内で、ユーザー向けのマイページを展開。旬の食材などに関する情報を提供したり、キャンペーン応募やポイント利用を案内したりと、様々なサービスに活用している。

江田氏は「LINEミニアプリは販促キャンペーンと相性が良いのです。LINE認証のみで応募できることに加え、原則1ユーザーにつき1IDなので、不正も防止できます」と説明する。また、LINEの友だちにキャンペーン情報をシェアしてもらいやすいこともメリットだという。
「LINEミニアプリはユーザーの『行動』を促せます。お店で商品を購入する。会員証を提示する。キャンペーンに応募する。お店を予約する。そういったリアル空間の行動をしやすいようにサポートできるのです」(江田氏)
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AI活用で1to1コミュニケーションも可能に
加えて、さらに行動を促すための新機能「LINEタッチ」を2025年11月17日に提供開始。店頭に設置されたプレートにスマホをタッチするだけで、LINEミニアプリを起動できるサービスだ。店頭で求められる会員証の提示やキャンペーン参加がスムーズになる。

江田氏は「わずかな時間の差が、ユーザー体験の差になります。特に、会員証提示など、来店のたびに何度も使ってもらうサービスがあるのなら、効果は大きいと考えています」と強調した。
加えて、「ミニアプリタブ」というページを表示する新機能もリリース予定だ。ユーザーに新しいLINEミニアプリの発見を促したり、よく使うミニアプリを手前に表示したり、ミニアプリの使用履歴を表示したりと、使い勝手を向上する。
一方で、AIとLINE公式アカウントを掛け合わせた取り組みも始めている。たとえば、販促キャンペーンの際に、過去のキャンペーンの参加履歴などをAIで分析。今回応募しそうなのはどういう人なのか、把握できるようになる。
AI活用がさらに進めば、「誰にキャンペーン応募を促すべきか」「キャンペーンでどのくらいのポイントを付与すれば応募してくれるのか」といったこともわかるようになり、データを活用した1to1のコミュニケーションも可能になるという。
「データに基づいてメッセージを配信し、行動を促し、そのデータがストックされて次の行動を生み出す。そんなループをつなげていけるのではないか、と考えています」(江田氏)
LINEミニアプリとAIがもたらす大きな変化
このような新しいサービスの開発・提供によってLINEヤフーが目指すのは、企業、ユーザー、そしてLINEヤフー自身にとって「三方良し」の状態を作ることだ。
江田氏は「これからも、ユーザーに寄り添う形でサービスを開発していこうと考えています。企業の皆さんと一緒に、いろいろなサービスを作っていければ」と呼びかけた。

今回のまとめとして、江田氏は重要なポイントを3つ挙げた。
1つ目は「LINE公式アカウントはAI活用によって『ブランド差別化』のフェーズへと移行している」ことだ。AIによってブランドの特性を引き立たせることが重要になる。2つ目は「LINEミニアプリは自社アプリと共存し、行動を促すものになる」こと。ユーザー数を増やし、ユーザーの行動を促すという目的のために、両者を共存させて活用することが効果的だという。
最後は「LINEミニアプリはAIによって効率化・最大化が加速していく」ことだ。どのユーザーにどうアプローチするべきか、AI分析によって判断できるようになれば、施策の効率化や効果の最大化につながる。
「1996年のYahoo! JAPAN誕生、2011年のLINE誕生に次ぐ、3回目の大きな変化が、LINEミニアプリとAIによってもたらされる。私たちはそう捉えています。今後もサービス開発に注力し、様々な企業と一緒に、新しい世界をつくっていきたいと考えています」(江田氏)
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