SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Spring

世界動向の先を読む「もう1つの視点」

史上最大規模のFIFA W杯2026、スポンサー勢から読み解く企業・国家の長期戦略

観戦の渡航・滞在・チケット価格の上昇を生む「マーケットプレイス化」

 さて、W杯期間中(6〜7月)のニューヨーク首都圏は、東京五輪や世界陸上の比ではない混雑と高騰が予想される。「出張ついでに観戦しよう」などは避けたほうが良い。

 決勝戦(2025年7月19日)を含む8試合が、ニュージャージー州「メットライフ・スタジアム(収容人数約82,500人)」で開催される。NY市内のホテル価格は、通常でも高額のさらに3倍程に跳ね上がる可能性が高く、特にマンハッタンのビジネスホテルクラスならば決勝戦前後には、最低宿泊日数(3泊以上など)を含めて、宿泊費だけで100万円規模に跳ね上がる可能性もある。

 ホテルの代替として、多くの旅行者が期待する「Airbnb」(民泊)も、ニューヨーク・ニュージャージー区域では2023年から「30日未満の短期賃貸」に対し極めて厳しい規制を施行しており、日割りの予約は事実上困難となっている。さらに、試合前後のライドシェア(Uber・Lyft)はダイナミック・プライシングにより通常の2〜4倍に跳ね上がることがほぼ確実だ。

 ニュージャージーとマンハッタン側への「鉄道移動」も、2014年のスーパーボウル開催時のような大混乱が予想され、輸送能力不足と近年のセキュリティチェックの厳格化により、真夏の渋滞と混乱は過去以上の可能性が高い。

 さらに試合観戦チケットは、FIFAそのものが主体になって「二次販売」を奨励する「Resale/Exchange マーケットプレイス」を展開する。チケットを先買いした人が価格を上げて転売すれば、FIFAは「売り手から15%、買い手から15%」の合計30%を手数料収入とする。しかも再転売の価格上限はなしで、値上げ転売されるたびに儲かる仕組みだ。商品ID(チケット)+販売者ID(FIFAから登録した購入者ID)+販売サイトID(FIFA)の「三方よしのID」の厳格構造であり、違法サイトのフィッシングと区分したい。

 W杯の経済マーケティングは、2026年大会のこうした「裏側」に流れる動きを押さえておくことが、2030年、2034年の大会までを見据えた企業・国家の「本気の長期戦略」を読むヒントになる

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
世界動向の先を読む「もう1つの視点」連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/12/12 08:30 https://markezine.jp/article/detail/50238

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング