「シニアはお金を使わない」は、本当でしょうか。ハルメク生きかた上手研究所所長の梅津順江氏が50代以上女性の消費行動を読み解く本連載。今回は「お金」をテーマに、シニア女性の消費の実態に迫ります。
シニア消費は縮んでいない
「シニアは節約志向で、お金を使わない」。そんな印象を持つ方も多いかもしれません。しかし、総務省統計局の家計調査を見ると、高齢世帯の消費は極端に落ち込んでいるわけではありません。
近年の消費支出は名目ベースで横ばい~微増傾向にあり(例:2024年は月額約25万円台→前年比では名目増)、支出の絶対額は極端な縮小を示していません。年代別のデータを見ても、シニア世代だけが特異に消費を抑えている構図は浮かび上がりません。支出構造は変化しているものの、生活の質を保つための支出は底堅く推移しているのです。
当研究所が実施した「お金に関する意識・実態調査2025」でも、実際の支出が急減している様子は見られませんでした。にもかかわらず、「お金の使い方への満足度」は前年比で9ポイント低下しています。
消費は縮んでいない。けれど満足度は下がっている。このズレこそが、今のシニア女性のお金事情を読み解く鍵です。この“縮んでいない消費”という事実が、議論の出発点になります。
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満足度9ポイント減の正体は、不安というより不満
満足度低下の背景には、物価上昇や将来不安といった構造的要因があります。しかし自由記述を読むと、それだけではないことが見えてきます。
「我慢の限界で買ってしまった」
「自分へのご褒美のつもりが後悔した」
こうした声は、単なる困窮ではなく、“節約疲れ”からくる反動を物語っています。重要なのは、「お金がない」という不安よりも、「納得できない支出をしてしまった」という不満がにじんでいる点です。使ったこと自体よりも、“うまく使えなかった”ことへの悔しさ。ここに、今のシニア女性の本音がにじんでいます。
このことから、彼女たちが求めているのは単なる「安さ」ではなく、「お金を使ってよかった」と思える体験の質が重要だと言えます。
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梅津 順江(ウメヅ ユキエ)
ハルメク 生きかた上手研究所 所長
2016年3月から現職。主に年間約900人のシニアを対象にインタビューや取材、ワークショップを行い、誌面づくり・商品開発・広告制作の糧になるインサイトをつかんでいる。時代や世代も捉えて、半歩先の未来も予測している。著書に「消費の主役は60代 シニア市場最前線」(同文舘出版)な...
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