BtoBマーケに必要なのは強力な第一想起
現在のBtoBマーケティングの現場では、多くのマーケターが構造的な「壁」に直面している。GRAND株式会社の藤原直哉氏は、その筆頭として「CPA(顧客獲得単価)の凄まじい高騰」を指摘する。
「BtoBマーケティング実態調査2025」によれば、およそ半数に近い45.8%の企業が、リスティングやSNS広告といった主要なマーケティング施策においてCPAの上昇を実感している。特にウェビナーやセミナーといった直近の定番施策は、CPAが高騰するだけでなくチャネルそのものが飽和状態にあり、顧客の可処分時間を奪い合う激しい競争環境下で投資対効果(ROI)の維持が困難になっているのが現実だ。
藤原氏は、BtoBマーケティングのボトルネックは「知られているが選ばれない、知られていない」あるいは「担当者は知っているが、他の関与者は知らない」という2点に集約されると解説。BtoBにおいて、顧客が特定の課題に直面した際、その解決策として自社サービスが「脳内の引き出し」の最初から3つ以内に入っていなければ、検討の土俵にすら乗ることができない。このため、「課題領域のプロ=自社」という強固な第一想起をいかに獲得するかが、商談化率や受注率を左右する決定的な要素となる。
認知の積み上げは中長期のROIを向上させる
2つ目の「担当者は知っているが、他の関与者は知らない」というのも、BtoB特有の課題だ。担当者個人がサービスを認知していても、企業の規模が大きくなるほど、それ以外の関与者や決裁者がその価値を共通言語として理解していなければ、導入に向けた社内の合意形成は進まない。
藤原氏は「個人への点のアプローチではなく、部署単位、会社単位での『面』の認知を深く広く取りに行くこと」が、現代のBtoBマーケティングにおいて不可欠な視点であると強調する。
Cookie規制によるターゲティング精度の限界や変数の複雑化により、デジタル広告のみでLTV(顧客生涯価値)を最大化することは限界を迎えつつある。この状況を打破するためには、短期的な獲得のみを追うのではなく、ROIと中長期的なブランド構築を全方位で成立させる「次世代の認知ブランディング」へのシフトが急務といえる。認知が強固に作られている状況こそが、結果として短期・中長期の全KPIを押し上げる要因となるのである。

