ネット広告の値段は安い? 高い?
続く質問は、一転してビジネスとしてのネット広告の在り方や価値について、考えさせられる「ネット広告の値段の相場」という現実的なもの。どんなネット広告も若干の差異はあるものの、基本的には市場原理に基づいて相場が決まっていくと考えられる。その上で、それぞれの見方から異なる見解が語られた。
まず「安い」と評したのは、小越氏と須田氏である。まず、小越氏はまだまだ総PV数や総滞在時間が増加傾向にあることから、「予想以上の効果が出る=値ごろ感がある」とコメント。
須田氏はプロモーション全体が大掛かりになりつつあることや、テレビなどの他メディアによるプロモーションとの効果を比較した上で「大きなプロジェクトとしてそろそろ扱われてもいいはず」と語った。しかし、低価格だからこそ冒険もできるともコメントし、作り手側の視点から高額化への疑問を呈した。
反対に「高い」と評したのは勝部氏だった。ユーザーとしての立場から、バナー広告の効果について「一過性で終わってしまって何も残らない」と疑問視。その想いが、「自社インフラをつくらなければ」という発想になり、前出の「UNIQLOCK」誕生へとつながったのだという。
また、継続してブランディングやユーザーコミュニケーションを図るためには、投資すべきは「広告の枠組みづくり」にあると力説した。そして、「今後も広告とコンテンツの壁を乗り越え、インフラ的なものを意識していきたい」と語った。河野氏も、ネット広告がサイトの一部しか占有していないこと、そして飽和状態になりつつある現状を踏まえて「高い」という認識を示した。
なお、会場は「高い」がやや優勢。河野氏は、需要と供給とのバランスの中で市場原理に基づいて決まっていくとしつつ、その流れの中で関係者が問題意識を持ち、「いかに価値を生み出すか」が問われていると結んだ。