ユーザーの離脱を防ぐ魔法の杖
興味関心に合わせてページを用意していくという発想は、LPOなども注目されてきたが、固定的であることは否めない。そこで、可変性に優れたレコメンデーションツールに期待が高まっているというわけだ。
ここで野上氏に代わり、サイジニア株式会社 代表取締役 吉井伸一郎氏が登壇し、同社のレコメンデーションツール「scigineer」、およびターゲティングテクニックについての課題や解決策について紹介がなされた。

まず「レコメンデーション」の目的について、吉井氏は「ユーザーを離脱させないこと」にあると語る。
Webサイトに来訪するユーザーのほとんどが、3~7秒程度で離脱してしまう状況下で、いかに興味をそそる情報を提供できるか。それは個人特性やニーズによって大きく変化し、すべてを準備するのは至難の業。しかし、「scigineer」の導入によって、豊かなレコメンデーションが可能になるという。
たとえば、ある玩具販売サイトでは、これまでの購入履歴からトップページにレコメンドアイテムを掲載することで、クリック率が14%から39%まで25%も向上した事例もある。
売れない商品を売れる商品へ
しかし、単にお勧め商品を掲載するだけでは、真のレコメンデーションの価値を享受しているとはいえない。つまり、売れ行きのよい商品は黙っていても自動的にレコメンドされ売れていく。
一方、マイナーな商品は売れにくくなる。このロングテール商品を全体的に活性化させることが、ECサイトの売り上げに直結するわけである。「scigineer」は多品種対応が可能であり、大局的な人気にとらわれず、独自のアプローチでマイナー商品でも自然にレコメンデーションできる。
たとえば、人気シリーズのDVDに続編が並ぶのは自然だ。しかし、それでは人気商品しか動かない。そこで同様のテイストの別タイトルの商品をレコメンドするわけである。
こうした、タイトル別レコメンデーションによってオンラインDVDレンタルサイトではクリック率が150%も増加し、コンバージョン率向上にも貢献した。さらに個人の閲覧履歴から作成したレコメンデーションによって「マイページ」に情報を掲載したところ、2倍の効果が得られたという。
SEMによる集客と、来訪後のレコメンデーションには綿密な連携が不可欠である。吉井氏は、今後もアウンコンサルティングとサイジニアの強力なパートナーシップによって的確なソリューションを提供していきたいと語った。
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