余力は値下げに使うな。AIが生んだ時間を「価値向上」へ投資せよ
安成:AIで生まれた余力を、安易に値下げや人員削減に回すのではなく、価値向上の投資にどう振り向けるか。組織として数字の見方をどう変えるかが問われそうです。
菅原:そうですね。薄利多売的に考えると「リストラして値段を安くしよう」となる。そうじゃなくて、作業が速くなったぶん、高くても買ってもらう価値と価格根拠を作ってみようでもいいわけです。人員も、効率化したから削るのではなく、お客さんを理解する時間に使う。アパレルブランドの販売員でも、これまでは本社から「週に何回LINEを送れ」と言われ、回数をこなすためだけに送っていた。でも時間にゆとりができて、AIがお客さんの購買履歴を教えてくれたら、「1年前に買ってくださったものと、昨日のものはお似合いですよ」と言えるようになる。新しい接客やお客さんを理解する時間に投資できるんです。
安成:人員整理ではなく、価格を上げるほうに使う、と。
菅原:はい。日本では「リストラクチャー」の使い方が間違っている。リストラというと人員削減になっちゃうけど、本来は構造(ストラクチャー)を変えるということ。V字回復の鉄板も同じで、赤字の事業は手放して黒字を残す。赤字は黒字が生んだ利益を減らすから、やめるだけで黒字になる。でも人員は残る。余ったお金と人を、次の成長投資に振り向けるから伸びていく。今まではプロ経営者のもとでしかできなかったことが、AIで時間を余らせ、足りない能力をAIが補ってくれることでできるようになる。それくらい会社を変えられると考えてもらうといいですね。

AI活用で利益2倍は余裕。今が生まれ変わるチャンス
安成:原価が上昇して利益率が圧迫され、「ビジネスモデルを転換しないと」と危機感を持つ経営者が急増しているように思います。最後にメッセージをお願いします。
菅原:今、日本は世界と比べて価値が半分くらいになってしまっている。スタバが日本では500円で飲めるのに、海外では1,000円以上する。海外から見れば「安い国」で、置いてけぼり感がある。世界から仕入れたり世界に売ったりするビジネスなら、相当危機的です。
でも、ちょうど今AIがある。この優秀さが10年後に来ていたら、日本はいい状況じゃなかったかもしれない。生産性が先進国でかなり低いと言われる日本でも、AIを使えば余裕で2倍にはなります。これはものすごくチャンスなんじゃないかと思います。やれることがないわけじゃなく、やれることがある。それはすごくポジティブに考えていい。
安成:本当に今が別れ道で、AI時代に利益体質の企業へ生まれ変われるか。今取り組むのが大事ですね。
菅原:もう、今すぐです。大げさじゃなく、1年後には高くて、そもそも稟議が通らない可能性もある。今すぐやって、少なくとも利益率を2倍に改善しておく。AIで単価が2倍になったときに払える状態を、今すぐ作っておくことが重要です。危険なものではなく、ポジティブに、チャンスだと思ってチャレンジしたほうがいい。今は、生まれ変わるチャンスなんです。
