情報過多時代の課題と日本に根付く「文字共感文化」
──博報堂DYグループでは、企業による「Threads」の活用支援にも注力されはじめているとうかがいました。背景を教えてください。
新卒で博報堂DYメディアパートナーズ(現在は博報堂)に入社。新聞社担当からキャリアをスタート。その後複数の大手プラットフォーマーとのパートナーシップ構築に従事。現職ではMetaに特化した、クライアントのビジネスグロース支援および博報堂DYグループオリジナルのソリューション開発を包括的にリードしている。
竹島:博報堂DYグループでは、ThreadsをはじめとするSNSにおいて、生活者のみなさまとブランドが共に価値を育む『共創関係』を築くためのコミュニケーション設計に注力しています。
生活者の興味関心は、年々多様化・細分化しています。それに伴い、企業やブランドが従来型の「1つの統一メッセージをマスに向けて発信する」手法では、生活者の共感を生みづらい構造になりつつあります。ブランド価値を伝えるには、一方的な発信ではなく、生活者との対話を生むコミュニケーション設計が不可欠になっています。これはThreadsに限らずSNS全体に対する視点です。
こうした「発話」を軸に日本のSNS環境を紐解くと、早くからその土壌を形成してきたのがXだと考えています。本音を直接口にしにくい建前文化をもつ日本において、テキストを介して深いつながりや共感を醸成する「文字共感文化」は、Xの台頭によって根付いたと思います。
現在の環境において、Xが災害時の情報収集など「リアルタイム性」に強みを持つ一方、Threadsは日常やライフスタイルに根差した「対話の場」として独自のポジションを築いていると考えています。博報堂DYグループの生活者調査によると、Threads高頻度利用者の多くがInstagramを併用しており、Instagramでの既存のつながりを土台に、テキストベースで関係性を深めていく構造が見えてきます(※1)。
つまりThreadsは、Instagramで培った視覚的な世界観や既存のつながりを土台に、テキストでより深い関係性を構築できる構造を持っています。
このように「関係性を軸に発話を促す」構造こそがThreadsの顕著な特性であり、私たちがThreadsに着目している理由です。
※1 出典:2025年博報堂 生活者統合タッチポイント調査
「会話のプラットフォーム」Threadsの急成長と特徴
──Metaの河村さんにうかがいます。日本でも利用時間が前年比130%増と急成長を続けるThreadsですが、「次の発話プラットフォーム」としてどのような特徴や強みがあるのでしょうか。
Facebook Japanに中途入社後、自動車・CPG ・テック業界のプランニングに携わる。その後、代理店パートナーシップチームへ異動し、現職。
河村:Threadsの大きな特徴は、誰もがオープンに参加しやすく、飾らないリアルな日常会話が生まれやすいプラットフォームであることです。実際、日本でも利用時間が前年比で大きく伸びており、急速に利用が広がっています。 また、単に投稿を見るだけではなく、情報収集の場としても使われているのが特徴です。興味のあるテーマについて、企業や著名人だけでなく、実際にそのテーマについて話している人たちのリアルな声に触れられる。そうした使われ方が広がっています。
そして、Threadsを「次の発話プラットフォーム」と考える上で特に重要なのが、会話が生まれやすいことです。Threadsでは、投稿そのものだけでなく、その後に続く返信も含めてコンテンツとして楽しまれています。実際、インプレッションの50%以上を返信が占めており、これはThreads上で「投稿して終わり」ではなく、「そこから会話が始まる」ことを象徴していると思います。
ブランドにとっても、これは大きな意味があります。一方的にメッセージを届けるだけではなく、生活者のリアルな反応を受け取りながら、ブランド自身も会話に参加していく。そうした双方向のコミュニケーションが自然に生まれる環境です。
さらに、安心して会話できる環境づくりにも力を入れています。ネガティブなコンテンツを評価しない仕組みに加えて、コメント管理では返信の承認機能や非表示ワードの設定なども提供しています。
鈴木:こうしたThreadsの市場特性と世の中の流れを受け、博報堂DYグループでは体制を刷新しました。以前は、プラットフォームの研究・戦略・運用支援を担う各チームがそれぞれ対応し、必要に応じて連携していましたが、現在では日々蓄積してきたデータやノウハウと、各担当者の専門知見を組み合わせ、Threadsにおいてもマーケティング戦略の設計から広告配信・運用、効果検証までを統合的に支援できるチームとして取り組んでいます。Meta様とも連携し、最新情報を得ながら対応を強化しています。
2019年にデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(現・Hakuhodo DY ONE)に中途入社。株式会社アイレップに出向後、ECや美容系クライアントを中心に、SNS運用コンサルティングを担当。現在はクライアントの事業課題の解決を軸に、Meta広告を中心としたプラットフォーム活用支援に注力。組織全体の運用力・コンサルティング力の向上に取り組んでいる。

