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【特集】IPとマーケティングの関係を探る

50周年を迎えた「日清焼そばU.F.O.」がオリジナルIPを「コロコロコミック」で育てる理由

伊藤 桃子(編集部)[著] / 関口 達朗[写]

喫食経験率1.5倍!驚異的な成果の裏側

──連載から約1年半が経過しましたが、定性・定量的にどのようなビジネス成果が出ていますか?

成瀬:定量面では、連載開始時と半年後のタイミングで読者アンケートを実施し、比較を行いました。その結果、連載前は低かった「U.F.O.」ブランドの認知率が、半年後には「コロコロ」読者のほぼ全員が認知する状態へと向上したほか、喫食経験率も約1.5倍に上昇しています。

三浦:一般的に、喫食率を1.5倍に上げるには長い期間を要します。あくまでも「コロコロ」読者という限られた中での数字ですが、それでもこの数字は素直にすごいと感じています。

画像を説明するテキストなくても可

 定性面でも、読者の方から届くはがきには「こい丸が可愛い」「おもしろい」だけでなく、「U.F.O.を食べたい」というメッセージが書かれています。キャラクターへの好意が商品への興味に自然につながっているのが一番嬉しいですね。

「コロコロ」編集部に届いた読者の声(一部)
「コロコロ」編集部に届いた読者の声(一部)

──成果を受けて、社内からの反応や評価は変化していますか?

成瀬:企画を社内で説明した当初は、「どのように成果を評価するのか」「短期的な売上につながる販促施策とのバランスはどうするか」といった指摘もありましたが、「長期的に次世代と関係を構築する取り組み」であることを粘り強く伝えて実施にこぎ着けました。

 連載開始後は、読者の反応や認知・喫食経験率の変化、イベントでの手応えなどを通じて、社内でも「こい丸」への見方が変わってきたと感じます。印象的だったのは、他部署の社員が、自身の子どもが楽しそうに「こい丸」を読んでいる様子や、「U.F.O.」をお食い初めのように楽しんでいる動画を見せてくれたことです。社員の家庭でも、「こい丸」をきっかけに「U.F.O.」との新しい出会いが生まれていることを実感できた出来事でした。

三浦:社内でも、じわじわと「こい丸」ファンが増えていますね。

長く愛されるIPを育てるための3カ条

──近年、事業会社やメーカーがIPを創出・育成する動きも活発です。成功の秘訣や取り組みの中で得た学びがあれば教えてください。

三浦:まずは目的を明確にすることです。今回は「α世代にファンになってもらいたい」という目的があり、それを達成するためにα世代の世界に入り込み、漫画家の先生や編集部のみなさんにキャラクターをデザインしてもらいました。ただ単に可愛いキャラクターを作るのではなく、目的をどう達成させるかを考えることが大前提です。

成瀬:IP作りの本質は、ブランドと生活者の間に長く続く関係を作ることだと思います。その観点でポイントは3つに整理できます。

画像を説明するテキストなくても可

 1つ目は、キャラクターよりも先にブランドの課題を明確にすることです。今回は「10年単位といった長期的な観点でα世代との関係を築きたい」という課題を解くための手段としてこい丸が生まれました。IPを作ることが目的ではありません。

 2つ目は、広告としての正しさよりも、コンテンツとしてのおもしろさを優先することです。ブランドがすべてをコントロールするのではなく、コンテンツ作りのプロを信頼して、読者・受け手にとって本当におもしろいものを一緒に作っていくことが大事だと考えています。

 3つ目は、単発の露出で終わらせず、接点を連鎖させていくことです。「こい丸」の場合も、漫画だけで終わらせず、付録、コミックス、イベント、サンプリングなどへ展開しています。短期的な売上だけでなく、認知、好意、会話、喫食、継続接触など、複数の指標について、時間をかけて見ていくことが重要です。

 ブランドの未来を担う方々と、どのような思い出を共有できるか。それが、IPをブランドの資産に育てる出発点になると思っています。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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