モバイルサイトを積極的に利用しない層とは?
モバイルサイトの利用者層については本連載の第一回で触れているが、その際、モバイルを積極的に利用するユーザー層について、以下のようにまとめている。
- 10~20代の若い層が積極的に利用している
- 男性より女性の利用が多い
- 大都市圏に集中しておらず、全国に散らばっている
- しかも地方ユーザーの方がより積極的に利用する
- PC、ひいてはITに縁が薄い職業に就いていることが多い
では、モバイルサイトを積極的に利用しない層というのはどういった人達になるかというと、上記の真逆ということになる。つまり、
- 主に30代以上
- 女性より男性
- 大都市圏に住んでいる
- PCやITに縁のある職業に就いていることが多い
こうした人達が、モバイルサイトの利用に積極的でない層だといえる。本誌記事「携帯ネットジャンキーってどんな人?」「携帯でネットを見ない人はどんな人?」を見比べてみれば、その傾向はある程度理解できるかと思う。
彼らがモバイルサイトを積極的に利用しない理由としては、モバイルサイトが比較的新しいメディアであり、既にPCサイトや4マスに馴染んでいる人がモバイルサイトを積極利用する理由に乏しいということ、女性と比べ男性の方がコミュニケーションに旺盛でなく、必然的に携帯電話の利用に対しても消極的な傾向があったことなどが挙げられるだろう。
モバイルを使う“目的”を与え、“習慣”を付ける
だがモバイルサイトを積極利用しない層の属性を見ると、全般的に年齢層が高いことから可処分所得も多いと見ることができ、消費行動に結びつけられれば得るものが大きいといえる。では、モバイルを積極利用しない層にモバイルを利用させ、消費活動へと結びつけるには、何が必要となってくるだろうか。
1つは、モバイルを使う“目的”を与え、“習慣”をつけさせるということである。ユーザーが求めており、かつモバイルでなければできない要素を継続的に用意すれば、必然的にどのような層であれ、モバイルを利用することになるからだ。
典型的な例が“クーポン”である。ここ1、2年のうちに、モバイルのメルマガ会員サービスを用意するファーストフード店やファミリーレストランが急速に増えているが、こうしたメルマガ会員システムの多くに共通しているのが、割引クーポンを提供しているということだ。
つまり、割引クーポンを発行することでメルマガ会員に登録するための動機をつけ、さらにメルマガによってお得情報や割引クーポンなどの情報を定期的にプッシュすることにより、メルマガ会員をモバイルサイト、そして店舗へと足を運ばせる動機付けとしているのである。これによって会員にはクーポンによって割引が継続的に受けられる、お店にとっては一度掴んだ顧客を逃しにくくなるというメリットが生まれる訳だ。
この仕組みを採用しているのは、現在のところモバイルのコアターゲット層の利用が多い飲食店などが中心だ。だがこれを他の分野に応用することで、モバイルを積極的に利用しない層にモバイルサイトを利用させる動機付けにできる可能性は高い。なぜなら、メルマガであればメリットのある情報を定期的にプッシュできるので、単発のキャンペーンと異なり関心の低いユーザーに対して常にモバイルサイトへアクセスする動機を与え、習慣を付けさせることができるからだ。