冒頭、河田氏は「一点、ご挨拶がございます」と語り、スポンサードサーチやインタレストマッチを提供するオーバーチュア株式会社が、講演前日の10月1日にヤフー株式会社と合併すると告げた。これまで展開していた広告事業は「Yahoo! JAPAN リスティング広告」としてYahoo! JAPANのサービスとして提供していくとした。
AIDAMモデルからAISASモデルへ
本セッションの主題はインタレストマッチについてだ。2008年の9月のサービス提供から1年以上が経過していいるが、インタレストマッチはどのような進化を遂げているのだろうか。河田氏はインタレストマッチの話題に入る前に、検索連動型広告について簡単におさらいをした。インターネットの浸透により消費者の行動がAIDMAモデルからAISASモデルへと変化する中、「検索」が今度も重要視されていくこと間違いないだろう。河田氏は、検索連動型広告を理解するために、まず従来のマス広告との比較を展開した。
「消費者は、みな考えていることはバラバラです。相手が考えていることを全く意識せず、同じメッセージをボンとぶつけるのが従来型の広告でした。テレビ広告、テレビCMなどは絵もある、音は出る、しかも非常にたくさんの人が見ていて、かつ画面全体を占有する。つまりメッセージを届ける力は非常に強いのですが、受け手の都合はあまり考えられていません。言わゆる、“バラマキ型”の性質が強いですが検索連動型広告は全く逆の強みを持ちます。そのような形で、それぞれ考えていること、興味なり関心・ニーズに合わせて一本釣りをしていけるというのが検索連動型広告です。どちらがよい、悪いのではなくて単純に性質が違うということです」
インタレストマッチとは
一方、インターネットユーザーが検索に費やしている時間は全体の5%~6%という調査もあり、それ以外の時間はコンテンツを閲覧している。そこで登場したのがコンテンツ連動型広告であるコンテンツマッチであり、さらにそれを進化させたサービスがインタレストマッチとなる。では、興味関心型広告とはどのようなサービスだろうか。河田氏は次のような以下の図を掲示した。
この図は、ユーザーの行動に時系列を加味したものだ。現在見ているコンテンツの内容だけではなく、以前に閲覧していたページの傾向からユーザーの興味を推し量り、広告を配信するという考え方で、河田氏はポイントは“3+1”であるとした。
3+1を実現するインタレストマッチ
1つ目のポイントは、現在見ているコンテンツを詳細に分析するコンテンツ連動型広告の考え方を受け継いだもの。2つ目のポイントは、過去そのユーザーが見ていたコンテンツを参照して、閲覧履歴を元にしたマッチング技術だ。ブラウザ単位での計測で、ブラウザが持っていそうな興味関心を割り出し、それに合わせた広告のマッチングを行う。
さらに、広告配信ページに対してたどり着いた直前のきっかけが検索結果ページであれば、検索キーワードがリファラーの形で渡り、マッチングする。これらの3つの要素を1番いい按配にブレンドするというのが、“+1”の要素。河田氏は、さらに説明を続けた。
「たとえば、習慣的に天気予報のページを見ると思います。天気の情報を生活者としては知りたいですが、天気に関する何らかの商売が生まれる可能性はあまりありません。そういった場合は、過去の参照履歴を元に広告を配信するほうが賢いでしょう。趣味的な内容のページをじっくり読まれているような場合には、現在見ているコンテンツとマッチングします。コンテンツとのマッチング、閲覧履歴とのマッチング、検索キーワードとのマッチングという3点に加え、『+1』でバランスが取られるというのが、インタレストマッチの1番のポイントです」
インタレストマッチでは、これらの要素に加え、Yahoo! JAPANIDでログインしたユーザーに対しては、その性別・年代などの属性も加味し、またアクセスしているIPアドレスなどから地域の要素、また広告を配信する曜日や時間帯でのターゲティングも可能だ。
サービス開始当初はYahoo! JAPANだけであった広告の配信先も、楽天、MSN、モバゲータウン、AllAbout、価格.com、Amebaなども参加。PCだけでなくモバイルにも配信している。