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ビジヲタ必見!「すべらない事業」の作り方

タウンページをヒントに起業した「データ復旧センター」のチャンスを逃さない事業の進め方

Q どのようにして現在のデータ復旧サービスに行き着いたのでしょうか?

 パソコン設定の仕事をしていた当時、データに関連した問題を抱えているお客さんもいました。それは主に中小企業の社長でした。

 社長が困っているくらいなので「ある程度の金額を出してでもデータを復旧して欲しい」と言う方もいらっしゃいました。しかし、私のほうで業者に見積もりを取ってみると数百万円ということもざらにあり、「いくら相手が社長とはいえ、こんなに高額な代金を請求するのが妥当なのだろうか?」という疑問が沸いていきました。

 そのため、データ復旧の研究を2001年頃から始めました。いろいろと調べていくうちに、どうやらアメリカにデータ復旧で有名な企業が数社あることが分かりました。

 これらの企業との提携を考えました。しかし、自分一人の力ではどうにもなりません。そこで、福岡県庁の助けを借りることを思いつき、早速福岡県庁に飛び込みで訪問しました。

 分からないことだらけではありましたが、福岡県庁の協力もあり、有名な5社のうちの1社であるアメリカDRG社と独占契約を結ぶことができたのです。

Q なぜ、データ復旧を事業の中核に据えることを決意できたのでしょうか?

 まず、データ復旧というマーケットが今後伸びることを確信していました。他には「競合が当時少なかったこと」と「高付加価値」だったこと。そして何より、業界自体が外から見るとブラックボックスでとてもグレーな業界だったからです。

 予想どおり、その後、業界は毎年120%の勢いで成長しました。

Q 業界が順調に伸びたということは、競合も増えたのではないでしょうか?

 2006年頃から急激に競合が増え、弊社も業界も売上が横ばいになりました。

 他社の中にはデータ復旧できないものを「できる」と言ったり、安い値段でお客様を引き付けるなどしている会社もありました。

Q その中で、貴社はどのような差別化を図ったのでしょうか?

 プライバシーマークやISO 2007001を他社に先駆けて取得し、セキュリティー対策をしっかりと行いました。その他にも、当たり前のことですが、受けた依頼を期待以上の成果でお返ししたり、比較的安価でスピーディーに作業を行ったりといったことを心がけました。

 また、弊社はかなり早い段階から、インターネットマーケティングへ積極的に着手しました。具体的には、Google AdwordsやOverture(現Yahoo!リスティング広告)などの検索連動型広告ですが、弊社が出稿を開始した当初、競合はまだどこも始めていませんでした。検索連動型広告には、売上規模が月商4,000万円代の頃に最大で2,000万円代を投下していました。

 ただし、そうは言っても競争激化により市場環境が悪くなってきているのは分かっていました。そこで、当時、売上の8割が新規顧客だった状況を、11ヶ月かけて既存顧客の売上比率を上げていき、広告費もピーク時の数分の一に抑え、固定費を下げながら、依頼件数も利益も落とさないようにしました。

 既存顧客の増やし方としては、サーバーを販売している大手企業やデータセンターとの提携を行いました。それらの企業の顧客向けに、付加価値メニューとしてデータ復旧サービスを請け負うことで、既存顧客の比率を高め、経営に安定性を持たせていきました。

Q 順調に成長しているように思いますが、事業ですべったことことはありますか?

 たくさんあります。例えば、2006年に累計3,000万円の投資をしたオンラインデータバックアップ事業は見事にすべりました。

 オンラインデータバックアップとは、一定周期やパソコンをシャットダウンする際に、あらかじめ選択しておいたデータを自動的にバックアップする、というサービスです。これを月額300円程度で提供していました。

 すべった理由はいくつかあると思いますが、1つは「必ず売れる」と言ってくれた販売パートナー経由では、結局売れなかったこと。あとは、データというものは無くなってみて初めてバックアップの重要性に気付くもので、データがなくなる前には、例え300円であっても、そのサービスに代金を支払う必要性を消費者や企業が意識しにくかったからではないでしょうか。

 私の場合、どんな事業でも最初は小さく始めることを基本にしています。小さく始めて、どの程度拡大していけるかを自分自身で把握します。その後、社内でマニュアル化し、自分がやらなくても事業が回る仕組みをつくり、外注できるところは外注して効率化を図ります。

 しかし、このオンラインデータバックアップは、その段階を踏まずにいきなり大きな投資をしてしまった。これが何よりの敗因ですね。ただし、この資金は外部から調達しているので財務は痛んでいませんが。

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Q 貴社は他にも「データ便」というサービスを提供していますが、これはどのようなものでしょうか?

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この記事の著者

矢作 嘉男(株式会社ハチワン)(ヤハギ ヨシオ(カブシキガイシャ ハチワン))

株式会社ハチワン代表取締役。New Jersey City University卒。
中国人観光客向けクーポンサイトなどインバウンド媒体を運営。
2011年、中国のインターネットプロモーション事業を行う北京博洛密網絡科技有限公司と提携し、中国向けプロモーション事業を開始。本当に成果の出る中国市場向けインターネットマーケティングのみをを提供し、インバウンド向けから中国現地進出向けまで数多くの実績を持つ。
プロモーションのご相談:info@813.co.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/02/25 11:00 https://markezine.jp/article/detail/9687

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